最後のアシスタントが描く、藤子・F・不二雄さんの素顔
- 2017/10/29
- 11:13
藤子・F・不二雄さん晩年のアシスタントだったむぎわらしんたろうさんが、ご自身と藤本弘さんとの思い出を描いた、『ドラえもん物語 ~藤子・F・不二雄先生の背中~』を出版されました。
これは、藤子不二雄さんがお二人に別れられた時から藤本さんのもとでアシスタントになった、むぎわらさんの濃密な8年間の物語です。
元々、藤子不二雄作品のファンだったむぎわらさんは、『コロコロコミック』の創刊号からの読者で、「藤子不二雄賞」に応募を続けます。そして、幾度の落選にも負けず4年目に佳作に入選しました。そして、編集部を通じて藤本さんのアシスタントを打診されたのです。
当時、専門学校に通っていたむぎわらさんは、いったんはお会いして断ろうと思いましたが、藤本さんの「手伝っていただけますか」という一言で、入社を決め即退学してしまいます。
その後は、藤本さんのアシスタントとして、『ドラえもん』の原稿に向かう日々が続きます。忙しい中でも、藤本さんはむぎわらさんへ自分の原稿を描くように勧めたり、丁寧に原稿を添削したりしてくれます。
そして、『ドラえもん』のてんとうむしコミックスの表紙の彩色をまかされたり、ベトナムでの出版のため一緒に現地に同行することになったのです。ベトナムでも、子供たちに対する優しい藤本さんの姿が描かれます。
極めつけは、現地の子ども達に本物ののび太と思われたむぎわらさんに対し、「きみ、もうなりきっちゃいなさい!」とおっしゃったことです。おかげでむぎわらさんは、サイン攻めにあいます。ですが、作者の分身でもあるのび太になりきるように言われたむぎわらさんは、本当に信頼されていたことが分かります。
その後『のび太のねじ巻き都市冒険記』の執筆途中、1996年9月22日に藤本さんは亡くなられます。
まだ連載は2回を終えただけでした。ですが、藤本さんの机には、3回目のラフ原稿が残されていたのです。それを受け取ったむぎわらさんは、必死に原稿を描き上げます。そうして、完結させたのです。当時、この作品はB5判の総集編で読みましたが、前半もどこまで藤本さんが描いて、どこから手が入っていないのか、分かりませんでした。今回、本書で初めてその当時のご苦労が分かりました。
巻末には、藤本さんのデスクまわりの写真や、『のび太のねじ巻き都市冒険記』の藤本さんによる直筆下絵も紹介されています。
藤本さんの人間性の素晴らしさを改めて認識するとともに、藤本さんもむぎわらさんのような信頼できるスタッフがいたことをきっと喜んでいらっしゃったのでは、とも思いました。

むぎわらしんたろう著『ドラえもん物語 ~藤子・F・不二雄先生の背中~』(小学館刊)
これは、藤子不二雄さんがお二人に別れられた時から藤本さんのもとでアシスタントになった、むぎわらさんの濃密な8年間の物語です。
元々、藤子不二雄作品のファンだったむぎわらさんは、『コロコロコミック』の創刊号からの読者で、「藤子不二雄賞」に応募を続けます。そして、幾度の落選にも負けず4年目に佳作に入選しました。そして、編集部を通じて藤本さんのアシスタントを打診されたのです。
当時、専門学校に通っていたむぎわらさんは、いったんはお会いして断ろうと思いましたが、藤本さんの「手伝っていただけますか」という一言で、入社を決め即退学してしまいます。
その後は、藤本さんのアシスタントとして、『ドラえもん』の原稿に向かう日々が続きます。忙しい中でも、藤本さんはむぎわらさんへ自分の原稿を描くように勧めたり、丁寧に原稿を添削したりしてくれます。
そして、『ドラえもん』のてんとうむしコミックスの表紙の彩色をまかされたり、ベトナムでの出版のため一緒に現地に同行することになったのです。ベトナムでも、子供たちに対する優しい藤本さんの姿が描かれます。
極めつけは、現地の子ども達に本物ののび太と思われたむぎわらさんに対し、「きみ、もうなりきっちゃいなさい!」とおっしゃったことです。おかげでむぎわらさんは、サイン攻めにあいます。ですが、作者の分身でもあるのび太になりきるように言われたむぎわらさんは、本当に信頼されていたことが分かります。
その後『のび太のねじ巻き都市冒険記』の執筆途中、1996年9月22日に藤本さんは亡くなられます。
まだ連載は2回を終えただけでした。ですが、藤本さんの机には、3回目のラフ原稿が残されていたのです。それを受け取ったむぎわらさんは、必死に原稿を描き上げます。そうして、完結させたのです。当時、この作品はB5判の総集編で読みましたが、前半もどこまで藤本さんが描いて、どこから手が入っていないのか、分かりませんでした。今回、本書で初めてその当時のご苦労が分かりました。
巻末には、藤本さんのデスクまわりの写真や、『のび太のねじ巻き都市冒険記』の藤本さんによる直筆下絵も紹介されています。
藤本さんの人間性の素晴らしさを改めて認識するとともに、藤本さんもむぎわらさんのような信頼できるスタッフがいたことをきっと喜んでいらっしゃったのでは、とも思いました。

むぎわらしんたろう著『ドラえもん物語 ~藤子・F・不二雄先生の背中~』(小学館刊)
- 関連記事
-
- 新編集版コンビニコミック『総務部総務課山口六平太』に注目記事
- スタートから43年目に明かされる『宇宙戦艦ヤマト』の真実とは
- 最後のアシスタントが描く、藤子・F・不二雄さんの素顔
- 政岡憲三さんの薫陶を受けたアニメーターの証言
- 34年ぶりに浸る『未来警察ウラシマン』の世界