スタートから43年目に明かされる『宇宙戦艦ヤマト』の真実とは
- 2017/11/18
- 10:24
豊田有恒さんの新刊『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 ~いかに誕生し、進化したか』(祥伝社新書)を読みました。
SF作家として有名な豊田さんですが、実は日本のアニメ専業シナリオライター第一号でもありました。ちなみに第二号は辻真先さんだそうです。
友人であった平井和正さんに誘われ、豊田さんは『エイトマン』のシナリオに参加されます。この当時、テレビアニメのシナリオ専門の脚本家はまだいませんでした。
SFマインドを期待された若き豊田さんは、いきなり『エイトマン』の脚本を任されます。そして『エイトマン』を見ていた手塚治虫さんが、『鉄腕アトム』への参加を要請しました。
豊田さんは、虫プロで『鉄腕アトム』のシナリオを書き始めます。豊田さんの書いた第84話「イルカ文明」は、視聴率がなんと40.7%も記録したそうです。
ただ有名な『W3』事件で誤解を受けた豊田さんは、手塚さんと袂を分かち、古巣のTBSで『スーパージェッター』や『冒険ガボテン島』に参加された後、作家としての仕事をメインにされました。
その後本格的なSF作品をとの声が掛かり、参加した企画が『アステロイド6』です。発想の元となったのは、『西遊記』だったそうです。
そして、新たに参加してきた松本零士さんから戦艦大和を使うことが提案され、『宇宙戦艦ヤマト』という作品になったのです。
以降続編が創られる度、豊田さんはプロデューサーの西崎義展さんに振り回されることになります。
毎回、設定を考えさせれてもギャラは半分しか支払わられず、次の作品の企画立案会議の前に、ようやく残りが振り込まれていたそうです。
豊田さんや松本さんたちクリエイターを大事にしていなかったという、プロデューサーの困った部分も、隠さずに綴っておられます。
以前お話をうかがった際も、『宇宙戦艦ヤマト』についていろいろお聞きしていました。ただ、改めて本書では、ワープや白色彗星ならぬ白色矮星、重核子爆弾、アクエリアスなど、重要な核となるSF設定が豊田さんのアイデアだったことを、明かしておられます。
『宇宙戦艦ヤマト』の大本となった『アステロイド6』の企画から、完結編まで携わってこられた豊田さんの打ち明け話は、興味深いものでした。
魅力的なビジュアルを生み出された松本零士さんの功績も、こうして改めて明かしていただけたことは、その後の裁判で悲しい思いをしていたかつてのファンにとってもありがたいことです。
かつて『宇宙戦艦ヤマト』に熱狂した世代には、オススメの一冊です。

豊田有恒著『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 ~いかに誕生し、進化したか』(祥伝社新書)
オビは松本零士さんのイラストです。原画提供/零時社・松本零士とクレジットされています。

『宇宙戦艦ヤマト』第一シリーズの動画
今でも第一作の絵は魅力的です。
SF作家として有名な豊田さんですが、実は日本のアニメ専業シナリオライター第一号でもありました。ちなみに第二号は辻真先さんだそうです。
友人であった平井和正さんに誘われ、豊田さんは『エイトマン』のシナリオに参加されます。この当時、テレビアニメのシナリオ専門の脚本家はまだいませんでした。
SFマインドを期待された若き豊田さんは、いきなり『エイトマン』の脚本を任されます。そして『エイトマン』を見ていた手塚治虫さんが、『鉄腕アトム』への参加を要請しました。
豊田さんは、虫プロで『鉄腕アトム』のシナリオを書き始めます。豊田さんの書いた第84話「イルカ文明」は、視聴率がなんと40.7%も記録したそうです。
ただ有名な『W3』事件で誤解を受けた豊田さんは、手塚さんと袂を分かち、古巣のTBSで『スーパージェッター』や『冒険ガボテン島』に参加された後、作家としての仕事をメインにされました。
その後本格的なSF作品をとの声が掛かり、参加した企画が『アステロイド6』です。発想の元となったのは、『西遊記』だったそうです。
そして、新たに参加してきた松本零士さんから戦艦大和を使うことが提案され、『宇宙戦艦ヤマト』という作品になったのです。
以降続編が創られる度、豊田さんはプロデューサーの西崎義展さんに振り回されることになります。
毎回、設定を考えさせれてもギャラは半分しか支払わられず、次の作品の企画立案会議の前に、ようやく残りが振り込まれていたそうです。
豊田さんや松本さんたちクリエイターを大事にしていなかったという、プロデューサーの困った部分も、隠さずに綴っておられます。
以前お話をうかがった際も、『宇宙戦艦ヤマト』についていろいろお聞きしていました。ただ、改めて本書では、ワープや白色彗星ならぬ白色矮星、重核子爆弾、アクエリアスなど、重要な核となるSF設定が豊田さんのアイデアだったことを、明かしておられます。
『宇宙戦艦ヤマト』の大本となった『アステロイド6』の企画から、完結編まで携わってこられた豊田さんの打ち明け話は、興味深いものでした。
魅力的なビジュアルを生み出された松本零士さんの功績も、こうして改めて明かしていただけたことは、その後の裁判で悲しい思いをしていたかつてのファンにとってもありがたいことです。
かつて『宇宙戦艦ヤマト』に熱狂した世代には、オススメの一冊です。

豊田有恒著『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 ~いかに誕生し、進化したか』(祥伝社新書)
オビは松本零士さんのイラストです。原画提供/零時社・松本零士とクレジットされています。

『宇宙戦艦ヤマト』第一シリーズの動画
今でも第一作の絵は魅力的です。
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