放映36年ぶりに『逆転イッパツマン』ムックで登場!
- 2018/03/10
- 09:37
昨年『未来警察ウラシマン』のムックを出版してくれたぴあが、また嬉しい本を出してくれました。
『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン COMPLETE BOOK』です。『逆転イッパツマン』は、1982年(昭和57年)2月から放映された「タイムボカンシリーズ」第6作です。
この作品はシリーズでは珍しく、シリアス寄りのスーパーヒーローものとなりました。それまでお決まりの路線での安定感もありましたが、飽き気味にもなっていたファンも、久々の正統派ヒーローの登場や年齢の上がった登場キャラたちに感情移入でき、毎回楽しみに見ていました。
エンディングの「シビビーン・ラブソディ」は、当時から好きな曲でしたが、自分もサラリーマンになってから、より歌詞が身に沁みたものです。
キャラクターは吉田竜夫さんの描いてきたリアルなヒーローとは違いましたが、『とんでも戦士ムテキング』のラインを踏襲したような、ライトで端正なデザインが魅力的でした。
どちらかといえば、林政行さんが作画監督だった『新造人間キャシャーン』に近かったかもしれません。
当時は『アニメージュ』などのアニメ誌もこのシリアス路線に注目し、特集してくれたことも覚えています。ただ注目度の割には「ロマンアルバム」など、関連ムック本が一冊も出ることはありませんでした。それが36年ぶりに出版されたのですから、これは快挙です。
『イッパツマン』というと、やはり記憶に残るのは30話の「シリーズ初! 悪が勝つ」と、31話「登場! 新イッパツマン」です。
井口忠一さんと二宮常雄さんという凄腕を作画監督に迎え、作画も一番の盛り上がりでした。31話から登場のミステリアスな美女、星ハルカは、その苗字からも親近感がより沸きました。
本書でも各話エピソードの紹介がありますが、これらのエピソードは殆ど覚えていました。また、天野喜孝さんによるキャラ準備稿や、現存する各話設定まで収録されているのはすごいことです。
スタッフのインタビューも、亡くなられた植田秀仁さん以外、天野さんや大河原邦男さん、笹川ひろしさんと小山高男さん。押井守さん、そして二宮常雄さんや鴫野彰さん、小原乃梨子さんのインタビューが収録されていたのは嬉しいことでした。
欲を言わせていただければ、作画ローテーションを支えられた鈴木英二さんや和泉絹子さん、そして韓国班で奮闘されておられた鄭雨英さんにもスポットをあてていただければとも思いました。
今回は前作の『ウラシマン』のように本編原画は収録されてませんでしたが、全58話を濃縮し一冊のムックとして出版してくれたことに感謝です。

ぴあ刊 『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン COMPLETE BOOK』

30話の井口さん自ら描かれた原画と、31話の二宮さんによる星ハルカの修正原画です。
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