『あしたのジョー』 祝 連載開始５０周年

　３月２１日、春分の日の読売新聞朝刊を開いて驚きました。カラー全面広告で『あしたのジョー』（原作／高森朝雄、漫画／ちばてつや）の連載開始５０周年の記念告知が掲載されていたのです。

　『あしたのジョー』は、『週刊少年マガジン』１９６８年（昭和４３年）１月１日号から連載開始されました。有名な矢吹丈がドヤ街に現れる姿が描かれてから、もう５０年が経ったのです。
　その間に、テレビアニメも虫プロ版『あしたのジョー』と、東京ムービー新社版『あしたのジョー２』。劇場版も『あしたのジョー』と『あしたのジョー２』の２作が公開されました。

　コミックスの累計発行部数は、約２０００万部だそうです。ファンなら、様々なバージョンを持っていることでしょう。私も最初の新書版や、ちばてつや漫画文庫版、ハードカバー版、新書復刻版、コンビニコミック版などなど、刊行されるたびに読み返してきました。　
　一番最初の出会いは、連載中の後半でした。小学生の頃、床屋や病院の待合室で読んだ金竜飛編の異様な緊張感に満ちたストーリーに、引き込まれました。
　それまで虫プロ版のアニメも見ていたのですが、ストーリーが強烈に刺さったのは、このエピソードでした。特に金の少年時代の描写は、あまりに壮絶で哀しすぎで、この一戦に限ればジョーより応援したくなるくらいでした。
　それからも何度も再放送される度、アニメ版『あしたのジョー』の画面から伝わってくるエネルギーに魅了されていきます。

　中学生になると、作画の魅力にもだんだん気づいてきます。金山明博さん、荒木伸吾さん、杉野昭夫さんのタッチの魅力や、出崎統さんの演出の素晴らしさも分かるようになりました。ただ残念ながら、本放映時には原作に追いついてしまい、カーロス・リベラ編の途中でアニメ版は終わっていました。

　１９８０年（昭和５５年）１０月、待ち望んだ原作のその後を描く『あしたのジョー２』が始まりました。オープニングはゲームのデジタル画面のようであまりピンとこなかったのですが、荒木一郎さんの音楽はジョーの世界にピッタリでした。
　『あしたのジョー２』は、虫プロ版から９年を経て、絵もよりスタイリッシュな劇画調に変化していました。透過光や強烈な陰影、リアルな背景美術など、画面もリアルで洗練されていたのです。

　最終回で矢吹丈がラストに真っ白な灰に燃え尽きてから、今年で３７年になりました。
　この３月からは『あしたのジョー』ＴＶアニメ第一作全７９話を、毎月発売する「『あしたのジョー』　COMPLETE DVD BOOK」シリーズもスタートするそうです。
　また４月２８日からは、スカイツリータウンの東京ソラマチ５階で、ちばてつやさんの原画やアニメ版の資料を公開する｢あしたのジョー展｣も行われます。

　『あしたのジョー』をワクワクして読んだファンには、まだまだ熱い時代が続きそうです。


読売新聞　２０１８年３月２１日掲載の全15段広告


劇場版『あしたのジョー２』公開時の梶原一騎さんのサイン。本当は高森朝雄と書いていただきたかったです。