『サザエさん』メインスポンサーの卒業

　今年も、桜の季節となりました。
　桜並木を見るためいつもは歩かない通りを歩くと、いろいろと気付くこともあります。
いつのまにかお店が改装していたり、別の店になっていたり、どうかすると古い家が取り壊され、ビルやマンションになっていたりするのです。

　日常に通る街並みもそれなりには変化しているのですが、毎日見ているのでそれほど気が付かないのでしょう。
　以前住んでいた町や、学生時代を過ごした町を久しぶりに訪れると、その変化に驚かされます。当たり前のように過ごしていた景色がガラっと変わっているのですから、違和感とともに時間の経過を改めて感じさせられるのです。

　アニメ『サザエさん』の３月２５日放映回から、東芝が提供スポンサーを降板したそうです。１９６９年（昭和４４年）１０月５日の放映開始より、長年提供してきた同社が、提供を降りることになるとは、想像できませんでした。

　元々、この企画は広告代理店である宣弘社経由で、東芝が始めた番組です。オープニングの最後には、東芝の英文ロゴをバックに磯野家の家族が正面に向かって元気よく歩いてくるカットに馴染んでいたファンは多いでしょう。
　オープニング最後に提供スポンサーの紹介に、サザエさんとタラちゃんが「この番組は、未来を創る技術の東芝がお送りします」、「いたしまーちゅ」と言っていたシーンは、今でも覚えています。

　その後、１９９８年１１月からは、東芝の一社提供ではなくなります。一社提供後期には、サザエさんのセリフは「エネルギーとエレクトロニクスの東芝がお送りします」となっていました。
　考えてみると、ドラマ内でもお隣も浜さんから伊佐坂さんになり、三河屋の御用聞きも三平さんから、三郎さんに変わっています。声優さんも、気が付けば結構代替わりしていました。

　子どもの頃、日曜の夕方は一家で『サザエさん』を見るのが日課でした。あの頃一緒だった祖父や祖母、曾祖母はもう記憶の中となりました。自分たちも歳を重ね、この４８年の間には様々な変化がありました。
　ただ、アニメの『サザエさん』たちは、変わりゆく時代の中でも明るい姿でそこにいてくれました。

４８年もの間『サザエさん』を初代スタッフからバトンを受け継ぎ創り続けてくれている、アニメスタッフの皆さんには感謝の気持ちで一杯です。
　そしてスポンサーとして『サザエさん』を長年支え続け、この春にスポンサーを卒業される東芝さんにも、改めて感謝いたします。　


磯野家が勢ぞろいした、２８年前の「東芝メロウルック」チラシです。