韓国アニメ研究の労作『韓国アニメ大全』
- 2018/05/12
- 07:05
昨秋に出版された、『テコンV・反共・反日・いんちき? 韓国アニメ大全』を読みました。
韓国アニメや宗教系のアニメ、自治体による啓蒙アニメなど、ディープなジャンルの作品を地道に研究してこられた、かに三匹さん初の単行本です。
これまで同人誌では発表しておられましたが、こうして研究の成果を書籍としてまとめられると、改めて圧倒されます。それは韓国アニメの持つ独特なエネルギーだけでなく、著者自身の対象への熱がこもっているからでしょう。
かに三匹さんは、わざわざ現地に渡って中古ビデオ街を回り、韓国アニメのソフトを買い集めてきたそうです。本書では、有名な『テコンV』シリーズから、主要作品のレビュー。作品年表、プロダクションの紹介など、これまで地道に研究してこられた成果がまとめられています。
そもそも韓国アニメに興味を持ったのは『15少年宇宙漂流記』(日本題『宇宙まぼろし城』)を、80年代に見たのがきっかけだったとのこと。私もこの作品が、30年以上前に住んでいた地方のローカルTV局で放送された時のことを覚えています。
主人公側は『ゴワッパー5ゴーダム』のゴワッパーたちで、何故か敵キャラが『宇宙戦艦ヤマト』のデスラー総統そっくりだったのです。最初、このゴチャマゼ感はいったい何なんだと不思議でした。しかし見ているうちに、その無茶苦茶さが逆に魅力にも感じました。どこか懐かしい、そんな雰囲気もしたのです。
その後、70年代から80年代にかけて、タツノコプロや東映動画、国際映画社作品が、韓国に外注していたことを知り、より韓国のアニメについても知りたいと思ってました。
実は、撮影の終わった国際映画社作品のカット袋には、向こうの自社作品の設定資料が混じっていたこともありました。国際映画社作品には、大元動画や世映動画、教育動画、Kプロ、スタープロなど、当時の主要会社が各作品の制作ローテーションに入っていました。原画やレイアウトなどにもハングル文字が、よく書かれていたものです。
当時、同時期に同じ現地スタッフたちによって制作されていた韓国作品は、いわば日本の作品と兄弟のような関係だったのかもしれません。
実際に当時、現地に渡り作業された村田四郎さんやながきふさひろさん、そして宮本貞雄さんなど『まんだらけZENBU』の「アニメ・インタビュー」の記事も、本書の参考資料になっていたようでよかったです。
単なるパクリという観点からだけではなく、実際に鑑賞しその世界を存分に堪能し尽くした、かに三匹さんだからこその見方、解説が楽しい労作でした。

かに三匹 著『珍アニメ完全解説 VOL。1 韓国アニメ大全 テコンV・反共・反日・いんちき?』(合同会社パブリブ刊)
韓国アニメや宗教系のアニメ、自治体による啓蒙アニメなど、ディープなジャンルの作品を地道に研究してこられた、かに三匹さん初の単行本です。
これまで同人誌では発表しておられましたが、こうして研究の成果を書籍としてまとめられると、改めて圧倒されます。それは韓国アニメの持つ独特なエネルギーだけでなく、著者自身の対象への熱がこもっているからでしょう。
かに三匹さんは、わざわざ現地に渡って中古ビデオ街を回り、韓国アニメのソフトを買い集めてきたそうです。本書では、有名な『テコンV』シリーズから、主要作品のレビュー。作品年表、プロダクションの紹介など、これまで地道に研究してこられた成果がまとめられています。
そもそも韓国アニメに興味を持ったのは『15少年宇宙漂流記』(日本題『宇宙まぼろし城』)を、80年代に見たのがきっかけだったとのこと。私もこの作品が、30年以上前に住んでいた地方のローカルTV局で放送された時のことを覚えています。
主人公側は『ゴワッパー5ゴーダム』のゴワッパーたちで、何故か敵キャラが『宇宙戦艦ヤマト』のデスラー総統そっくりだったのです。最初、このゴチャマゼ感はいったい何なんだと不思議でした。しかし見ているうちに、その無茶苦茶さが逆に魅力にも感じました。どこか懐かしい、そんな雰囲気もしたのです。
その後、70年代から80年代にかけて、タツノコプロや東映動画、国際映画社作品が、韓国に外注していたことを知り、より韓国のアニメについても知りたいと思ってました。
実は、撮影の終わった国際映画社作品のカット袋には、向こうの自社作品の設定資料が混じっていたこともありました。国際映画社作品には、大元動画や世映動画、教育動画、Kプロ、スタープロなど、当時の主要会社が各作品の制作ローテーションに入っていました。原画やレイアウトなどにもハングル文字が、よく書かれていたものです。
当時、同時期に同じ現地スタッフたちによって制作されていた韓国作品は、いわば日本の作品と兄弟のような関係だったのかもしれません。
実際に当時、現地に渡り作業された村田四郎さんやながきふさひろさん、そして宮本貞雄さんなど『まんだらけZENBU』の「アニメ・インタビュー」の記事も、本書の参考資料になっていたようでよかったです。
単なるパクリという観点からだけではなく、実際に鑑賞しその世界を存分に堪能し尽くした、かに三匹さんだからこその見方、解説が楽しい労作でした。

かに三匹 著『珍アニメ完全解説 VOL。1 韓国アニメ大全 テコンV・反共・反日・いんちき?』(合同会社パブリブ刊)
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