『月刊Hanada』9月号に『宇宙戦艦ヤマト』の記事が
- 2018/08/18
- 10:09
7月26日発売の『月刊Hanada』9月号を読みました。新聞広告に出ていた豊田有恒さんの「『宇宙戦艦ヤマト』朝日のフェイク報道」という見出しが気になったのです。
記事は主に朝日新聞夕刊に2015年2月25日から3月11日まで連載された、「ヤマトをたどって」という記事についての苦言でした。
『宇宙戦艦ヤマト』の企画時は、「人類の進歩と調和」というスローガンによって成功した「大阪万博」も終了し、浮上してきた公害問題や原子力、ノストラダムスの終末論の流行により、世相はネガティブな様相を呈していました。
安易に科学による明るい未来を提唱したということで、学者やSF作家にも批判の波が押し寄せたそうです。そんな世論をリードするマスコミの手のひら返しに憤りを覚えた豊田さんたちは、究極の公害、終末の世界を描こうという気分になりました。
小松左京さんは『日本沈没』を発表し、豊田さんは、異星人による侵略で放射能に汚染された地球を救うため、放射能除去装置を取りに行くという設定を考えたのです。この大元になったSF設定を、記者に説明したそうです。
ところが記事には一切反映されず、『ヤマト』は第二次世界大戦末期の日本とのダブルイメージであり、反戦平和がテーマだった、となっていたのです。記事では石黒昇さんの著書『テレビ・アニメ最前線』(小原乃梨子さんとの共著)に記述された第2話での軍艦マーチ事件についても取り上げ、先の戦争がテーマだったようにも書いています。
ですが、松本零士さんや石黒さんたちもあくまで戦争SFアクションとして作っていたのです。第二次世界大戦のイメージを付けたくないがために、本編に軍艦マーチを流すことにはスタッフも抵抗したと、石黒さんも書籍ではちゃんと書かれていました。
確かにあの頃、西崎義展さんが、いつのまにか「テーマは愛」とおっしゃるようになり、違和感を覚えたことはありました。ただ、アニメファンも第1作はあくまで宇宙を舞台にしたSF戦争アクションと、若者の成長物語、冒険譚として受け取っていたと思います。
豊田さんは、昨年出版された『宇宙戦艦ヤマトの真実』(祥伝社新書)の前書きにも、「某新聞の取材に答えたのに捻じ曲げられたのが執筆の動機」と書いておられました。
新聞記事の掲載後、内容について抗議すると「先生の意見は採用しませんでした」と、一蹴されたそうです。せっかく当時のことを話してもらえたのに、単にそれを「意見」として片づけてしまう理由が分かりません。
クリエイターである先人へのリスペクトが感じられない対応には、憤りすら覚えます。
アニメ作品について当事者の方が取材を受けてくださるのでしたら、事実を受け止めその言葉の持つ重みを大切にしていきたい、と改めて思いました。

『月刊Hanada』9月号(飛鳥新社刊)
記事は主に朝日新聞夕刊に2015年2月25日から3月11日まで連載された、「ヤマトをたどって」という記事についての苦言でした。
『宇宙戦艦ヤマト』の企画時は、「人類の進歩と調和」というスローガンによって成功した「大阪万博」も終了し、浮上してきた公害問題や原子力、ノストラダムスの終末論の流行により、世相はネガティブな様相を呈していました。
安易に科学による明るい未来を提唱したということで、学者やSF作家にも批判の波が押し寄せたそうです。そんな世論をリードするマスコミの手のひら返しに憤りを覚えた豊田さんたちは、究極の公害、終末の世界を描こうという気分になりました。
小松左京さんは『日本沈没』を発表し、豊田さんは、異星人による侵略で放射能に汚染された地球を救うため、放射能除去装置を取りに行くという設定を考えたのです。この大元になったSF設定を、記者に説明したそうです。
ところが記事には一切反映されず、『ヤマト』は第二次世界大戦末期の日本とのダブルイメージであり、反戦平和がテーマだった、となっていたのです。記事では石黒昇さんの著書『テレビ・アニメ最前線』(小原乃梨子さんとの共著)に記述された第2話での軍艦マーチ事件についても取り上げ、先の戦争がテーマだったようにも書いています。
ですが、松本零士さんや石黒さんたちもあくまで戦争SFアクションとして作っていたのです。第二次世界大戦のイメージを付けたくないがために、本編に軍艦マーチを流すことにはスタッフも抵抗したと、石黒さんも書籍ではちゃんと書かれていました。
確かにあの頃、西崎義展さんが、いつのまにか「テーマは愛」とおっしゃるようになり、違和感を覚えたことはありました。ただ、アニメファンも第1作はあくまで宇宙を舞台にしたSF戦争アクションと、若者の成長物語、冒険譚として受け取っていたと思います。
豊田さんは、昨年出版された『宇宙戦艦ヤマトの真実』(祥伝社新書)の前書きにも、「某新聞の取材に答えたのに捻じ曲げられたのが執筆の動機」と書いておられました。
新聞記事の掲載後、内容について抗議すると「先生の意見は採用しませんでした」と、一蹴されたそうです。せっかく当時のことを話してもらえたのに、単にそれを「意見」として片づけてしまう理由が分かりません。
クリエイターである先人へのリスペクトが感じられない対応には、憤りすら覚えます。
アニメ作品について当事者の方が取材を受けてくださるのでしたら、事実を受け止めその言葉の持つ重みを大切にしていきたい、と改めて思いました。

『月刊Hanada』9月号(飛鳥新社刊)
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