先駆者・氷川竜介さんの濃密なる40年の軌跡 『倍密の人生』
- 2018/09/17
- 08:54
氷川竜介さんの個人誌『倍密の人生 アニメ特撮教授の回想録40年』をお送りいただきました。
長年刊行されている「ロトさんの本」のVOL.39として、今年の夏コミで発表されたものです。
全編書き下ろしということに、まず驚かされました。大学の講義やNPO理事の活動、講演や執筆など、多忙な日々なのに、いつ書下ろす時間があったのかと、改めてそのパワーに感服します。さすがは、会社勤めをしながらあの濃密な『20年目のザンボット3』を上梓された氷川さんです。
今回は商業デビュー40周年記念ということで、アニメ・特撮を取り巻く環境と会社員時代を各年ごとに振り返る内容です。
氷川さんがデビューされたのは、1977年(昭和52年)『月刊OUT』6月号(みのり書房)の『宇宙戦艦ヤマト』大特集でした。この年3月に大学に合格された氷川さんは、特集の全話レビューやスタッフインタビュー、用語事典、科学考証などの記事の大半を担当されたそうです。
翌1978年に『月刊OUT』の増刊誌『ランデヴー』にも、参加されます。『ランデヴー』では、『未来少年コナン』の放映開始時期に宮崎駿さんに注目し取材したほか、『無敵鋼人ダイターン3』放映直前の富野喜幸(現・由悠季)さん、そして、スタジオZの金田伊功さんの取材記事を発表されました。『ランデヴー』は、長浜忠夫さんの匿名のファンレターに対する返事を掲載したり、各社の幻のパイロットフィルムを紹介するなど、より深堀りした記事を掲載したのも特徴的でした。
『アニメージュ』登場以前から、アニメのクリエイターを積極的に取り上げる媒体があったことは、リアルタイムの読者としても印象が強いです。
そしてキングレコードで安彦さんの原画を使用した『機動戦士ガンダム』などのLPの構成、またライターの仕事を経て、就職された氷川さんは、いったんアニメ関係の仕事から離れられます。
勤務された会社では、通信システム関連の仕事に就かれ、ISDNやPHS、デジタルmovaのデータ通信など後のweb世界の基礎となった開発に最前線で立ち会ってこられました。
その間、黎明期のパソコン通信に参加し、ニフティのアニメフォーラムのサブ・システム・オペレーターを要請されます。その人脈からも、特撮・アニメ関連のネットワークがさらに拡がったのです。
現在は、会社を退社され、文筆業と、大学教授、そしてNPO理事として多忙な日々を送られる氷川さんですが、こうして四十年に渡る歩みを明かしていただけると、アニメ・特撮とwebなど「倍密」な人生を歩んでこられたことが改めて分かります。
個人的にも、会社員との二束のわらじを実践し続けておられた先輩でもあります。
これからも、私たちに多大な影響を与えてくれたアニメ・特撮研究の先駆者として、お元気に更なるご活躍をされることをお祈りします。

氷川竜介著『倍密の人生 アニメ特撮教授の回想録40年』(副題:ロトさんの本 Vol.39 商業デビュー40周年記念)
アマゾンでも購入できます
長年刊行されている「ロトさんの本」のVOL.39として、今年の夏コミで発表されたものです。
全編書き下ろしということに、まず驚かされました。大学の講義やNPO理事の活動、講演や執筆など、多忙な日々なのに、いつ書下ろす時間があったのかと、改めてそのパワーに感服します。さすがは、会社勤めをしながらあの濃密な『20年目のザンボット3』を上梓された氷川さんです。
今回は商業デビュー40周年記念ということで、アニメ・特撮を取り巻く環境と会社員時代を各年ごとに振り返る内容です。
氷川さんがデビューされたのは、1977年(昭和52年)『月刊OUT』6月号(みのり書房)の『宇宙戦艦ヤマト』大特集でした。この年3月に大学に合格された氷川さんは、特集の全話レビューやスタッフインタビュー、用語事典、科学考証などの記事の大半を担当されたそうです。
翌1978年に『月刊OUT』の増刊誌『ランデヴー』にも、参加されます。『ランデヴー』では、『未来少年コナン』の放映開始時期に宮崎駿さんに注目し取材したほか、『無敵鋼人ダイターン3』放映直前の富野喜幸(現・由悠季)さん、そして、スタジオZの金田伊功さんの取材記事を発表されました。『ランデヴー』は、長浜忠夫さんの匿名のファンレターに対する返事を掲載したり、各社の幻のパイロットフィルムを紹介するなど、より深堀りした記事を掲載したのも特徴的でした。
『アニメージュ』登場以前から、アニメのクリエイターを積極的に取り上げる媒体があったことは、リアルタイムの読者としても印象が強いです。
そしてキングレコードで安彦さんの原画を使用した『機動戦士ガンダム』などのLPの構成、またライターの仕事を経て、就職された氷川さんは、いったんアニメ関係の仕事から離れられます。
勤務された会社では、通信システム関連の仕事に就かれ、ISDNやPHS、デジタルmovaのデータ通信など後のweb世界の基礎となった開発に最前線で立ち会ってこられました。
その間、黎明期のパソコン通信に参加し、ニフティのアニメフォーラムのサブ・システム・オペレーターを要請されます。その人脈からも、特撮・アニメ関連のネットワークがさらに拡がったのです。
現在は、会社を退社され、文筆業と、大学教授、そしてNPO理事として多忙な日々を送られる氷川さんですが、こうして四十年に渡る歩みを明かしていただけると、アニメ・特撮とwebなど「倍密」な人生を歩んでこられたことが改めて分かります。
個人的にも、会社員との二束のわらじを実践し続けておられた先輩でもあります。
これからも、私たちに多大な影響を与えてくれたアニメ・特撮研究の先駆者として、お元気に更なるご活躍をされることをお祈りします。

氷川竜介著『倍密の人生 アニメ特撮教授の回想録40年』(副題:ロトさんの本 Vol.39 商業デビュー40周年記念)
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