『海のトリトン』立ち上げ時の貴重な証言 『まんだらけZENBU89号』
- 2018/10/08
- 09:51
隔月刊の『まんだらけZENBU』最新号の89号が、10月に発売されました。
今回の「アニメーション・インタビュー」シリーズに登場されたのは、虫プロの『鉄腕アトム』最後期や『W3』を担当されたプロデューサーの黒川慶一郎さんです。
黒川さんは、『鉄腕アトム』の開始早々で毎週新作を作らねばならない超多忙な時期に制作進行として入社されました。
手塚治虫さんの信頼も厚く、『ジャングル大帝』でスタッフがごっそり抜けたあとも、手塚さんを支えて外注システムを構築し看板作品である『鉄腕アトム』を最終回まで制作されました。
あの富野喜幸(現・由悠季)さんを、演出として手塚さんに推挙したのも黒川さんだったのです。
その後、手塚さんの肝入りにより始まった『W3』ではプロデューサーに指名され、手塚さんの意向に沿ってスタッフ編成に努められます。
当時のテレビアニメでは前代未聞だったキャラクター別の作画監督制度も、手塚さんのご意向だったそうです。『W3』には手塚さんもかなりの思い入れをお持ちだったので、マンガ原稿を描きあげた深夜にスタジオにやってきて、自らアニメの原画も描いておられたそうです。
その後、黒川さんは『リボンの騎士』や『バンパイヤ』を担当され、東京ムービーに移籍されます。
実は名前こそ出ていませんでしたが『巨人の星』の実務的な仕切りは黒川さんでした。また東京ムービー版の『ムーミン』も担当されておられたので、虫プロへの移動の事情も明かされています。
記事の一番のポイントは、『海のトリトン』の企画立ち上げ当時の謎が明かされたことでしょう。これまで、西崎義展氏の関与や最初手塚プロの企画だった、などこの作品の成立には諸説がありました。今回は黒川さんがプロデューサーとして、初めて企画当初の事情を明かしておられます。
なぜ、アニメーションスタッフルームという会社が制作することになったのか。どうして、羽根章悦さんにキャラクターデザインと作画監督、松岡清治さんに構成を依頼することになったのか。なぜ、富野喜幸さんが初ディレクター作品として抜擢されたのか。西崎さんはプロデューサーとして、最初から作品に関与していたのか。手塚さんはキャラクターデザインが変わったことを、了解されていたのか。
これまで謎の多かった『海のトリトン』の立ち上げについて、実際に現場を統括されたプロデューサーとして黒川さんが答えてくださっています。
現場で見てきた黒川さんだけしか知らない手塚治虫さんの素顔など、古くからのアニメファン、マンガファンには貴重な証言ばかりです。

『まんだらけZENBU』89号(まんだらけ出版部刊)
今回も、安彦さんの『機動戦士ガンダム』の修正原画や、藤子・F・不二雄さんの生原画など凄いものが満載でした。
今回の「アニメーション・インタビュー」シリーズに登場されたのは、虫プロの『鉄腕アトム』最後期や『W3』を担当されたプロデューサーの黒川慶一郎さんです。
黒川さんは、『鉄腕アトム』の開始早々で毎週新作を作らねばならない超多忙な時期に制作進行として入社されました。
手塚治虫さんの信頼も厚く、『ジャングル大帝』でスタッフがごっそり抜けたあとも、手塚さんを支えて外注システムを構築し看板作品である『鉄腕アトム』を最終回まで制作されました。
あの富野喜幸(現・由悠季)さんを、演出として手塚さんに推挙したのも黒川さんだったのです。
その後、手塚さんの肝入りにより始まった『W3』ではプロデューサーに指名され、手塚さんの意向に沿ってスタッフ編成に努められます。
当時のテレビアニメでは前代未聞だったキャラクター別の作画監督制度も、手塚さんのご意向だったそうです。『W3』には手塚さんもかなりの思い入れをお持ちだったので、マンガ原稿を描きあげた深夜にスタジオにやってきて、自らアニメの原画も描いておられたそうです。
その後、黒川さんは『リボンの騎士』や『バンパイヤ』を担当され、東京ムービーに移籍されます。
実は名前こそ出ていませんでしたが『巨人の星』の実務的な仕切りは黒川さんでした。また東京ムービー版の『ムーミン』も担当されておられたので、虫プロへの移動の事情も明かされています。
記事の一番のポイントは、『海のトリトン』の企画立ち上げ当時の謎が明かされたことでしょう。これまで、西崎義展氏の関与や最初手塚プロの企画だった、などこの作品の成立には諸説がありました。今回は黒川さんがプロデューサーとして、初めて企画当初の事情を明かしておられます。
なぜ、アニメーションスタッフルームという会社が制作することになったのか。どうして、羽根章悦さんにキャラクターデザインと作画監督、松岡清治さんに構成を依頼することになったのか。なぜ、富野喜幸さんが初ディレクター作品として抜擢されたのか。西崎さんはプロデューサーとして、最初から作品に関与していたのか。手塚さんはキャラクターデザインが変わったことを、了解されていたのか。
これまで謎の多かった『海のトリトン』の立ち上げについて、実際に現場を統括されたプロデューサーとして黒川さんが答えてくださっています。
現場で見てきた黒川さんだけしか知らない手塚治虫さんの素顔など、古くからのアニメファン、マンガファンには貴重な証言ばかりです。

『まんだらけZENBU』89号(まんだらけ出版部刊)
今回も、安彦さんの『機動戦士ガンダム』の修正原画や、藤子・F・不二雄さんの生原画など凄いものが満載でした。
- 関連記事
-
- 『三丁目の夕日 夕焼けの詩』65巻
- 馬場のぼるさんのこどもまんが作品集
- 『海のトリトン』立ち上げ時の貴重な証言 『まんだらけZENBU89号』
- 『となりのトトロ』はいかにして生まれたか 新刊『ふたりのトトロ』
- 懐かしいOVA時代を振り返る 『オリジナルビデオアニメ80’S』