待望の『MOGUMOGU食べ歩きくま』第１巻刊行

　これまでマンガは雑誌や単行本で読んでいましたので、Webコミックにはあまりご縁はありませんでした。ただ最近はWeb発でも好みの作品が出ますので、書籍化されると読むようになりました。
　今回購入したのは、デジタル漫画誌『週刊Dモーニング』で月イチ連載中、ナガノさんの『MOGUMOGU食べ歩きくま　第１巻』（講談社刊）です。

　ナガノさんは、ＬＩＮＥスタンプ「自分ツッコミくま」などで、味のある描線のキャラクターが人気のイラストレーターです。
　このキャラクターが好きでしたので、もっとナガノさんの世界に触れたいと思っていました。これまでも、イラストエッセイ『ねこくま、めしくま』（角川文庫）や 英会話本なども刊行されています。今回は待ち望んだ、初のマンガ本です。初版には、特典シールも付くということで久々に書店で予約しました。
　本書は、「自分ツッコミくま」でおなじみのくまくんが、各地のおいしいものを目的に旅するというものです。

　高尾山から始まり、浅草、東京ドームのイベント「ふるさと祭り東京」、「台湾」編、「上野」、「横浜中華街」、「近場のスパ」など、あちこちを巡り美味しいものをタイトル通りもぐもぐしていきます。中には、途中でお腹いっぱいになりまだ食べたいのに挫折してしまうエピソードなどもあって、とても共感できます。

　こうして、マンガで描かれるくまくんを見るのは新鮮ですが、ラインキャラクターでのユルい性格そのままで、楽しくなります。
　実際にこの旅をされたのは、ナガノさんなのでしょうが、くまくんは、まさに著者ご自身のようにも見え、より親しみを覚えました。キャラクターはシンプルなデザインなのに、その時々の気持ちが表情に見事に描かれ、共感します。オールカラーで描かれた原稿も、色使いがとてもきれいで、これが初めてのコミック作品とはとても思えません。
　なにより描かれる各地の風景も素敵ですし食事メニューもおいしそうで、読者も実際にそこに行って食べたくなるものばかりです。

　グルメエッセイ・マンガは、これまでも様々なヒット作がありますが、それぞれ作者の個性や好みが出ているのが楽しいものです。この『MOGUMOGU食べ歩きくま』も、ナガノさん独特のゆるくのんびりしつつも、ご自身の好みを大事にされている世界が素敵です。

　「自分ツッコミくま」をご存知の方も知らない方も楽しめる、読んでゆったりとした気分になれるオススメの作品です。これからは、この作品のように雑誌だけでなくWeb発でも、楽しいマンガが出てくるのでしょう。

　巻末には２巻が２０１９年秋に発売予定と予告されていました。刊行が今から待ち遠しいです。


ナガノ著『MOGUMOGU食べ歩きくま』第１巻 (ワイドKC)