『漫画アクション』誕生秘話を描く『ルーザーズ』第2巻
- 2019/02/10
- 09:49
昨年4月に第1巻が刊行され、マンガファンに話題になった『ルーザーズ ~日本初の青年漫画誌の誕生~』(吉本浩二/著)の第2巻が出ました。これは、日本初の青年漫画誌である『週刊漫画アクション』誕生のエピソードを描く作品です。
創刊編集者である清水文人さんの思い、そして、モンキー・パンチさん、バロン・吉元さんとの出会いから創刊への流れを敗戦後20年を経た当時の世相を背景に熱いドラマが描かれています。
吉本さんは、『ブラックジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~』(原作/宮崎克)で、これまでもマンガ家と編集者たちの創作にかける熱いドラマを描いています。
描かれているキャラクターは吉本さん独特のタッチですが、それぞれの生き生きとした表情、その姿がリアルに息づいていて読者は惹きつけられます。
第1巻では、のちにモンキー・パンチと名乗られることになる、加藤一彦さんを中心に描かれました。元々文学青年だった清水さんが、加藤さんの絵に新たな風を感じ、作品を元々担当していた『週刊漫画』に掲載するようになったエピソードです。
ラストには、もう一人の立役者であり後に『柔侠伝』を描いたバロン・吉元さんが、編集部を訪れるシーンで終わりました。スーツでビシッと決め、アタッシュケースに原稿を入れた吉元さんの登場は、また次なる波を予感させるものでした。
第2巻は、その吉本さんと出会った清水さんが、モンキーパンチさんと二人を中心とした増刊『漫画ストーリー アクション特集号』を刊行するエピソードが中心です。
もちろん雑誌は、編集者一人の力で出来るものではありません。そこには、堤任さんや、石神信也さん、豊田浩明さんと、社内を横断した清水さんの理想に共鳴する心強い同志がいました。
他にも、清水さんの求める新しい感覚に合う執筆者が集まった増刊は、売り切れ店続出で評判となりました。
この成功によって、清水さんは「漫画で文学をするんだ」と思いを強くし、新雑誌創刊をなんと社長に直訴します。そして新たに編集部を立ち上げ、更に4人の編集者も揃うことになりました。
驚いたのは、この4人の編集部員の中に、後に『兵隊さん物語』や『極楽町一丁目』などを描かれる二階堂正宏さんもいたことです。私も朝日ソノラマの『月刊マンガ少年』などで、とぼけた二階堂さんの作品は好みでしたが、創刊時の編集者だったことは初めて知りました。
巻末に収録された、バロン吉元さんのインタビューも、当時の思いを語っておられており貴重です。
物語は『週刊漫画アクション』立ち上げの7人の侍が揃い、モンキー・パンチさんも「ルパン」を主人公にした新たなマンガを構想し始めたところで終ります。
今回も圧倒的なストーリーと熱量に引き込まれ、一気に読んでしまいました。また3巻の刊行が待たれます。

双葉社アクションコミックス『ルーザーズ ~日本初の青年漫画誌の誕生~』第2巻 吉本浩二著
新たに参加された編集者たちの奮闘する姿の今後の活躍も楽しみです。
創刊編集者である清水文人さんの思い、そして、モンキー・パンチさん、バロン・吉元さんとの出会いから創刊への流れを敗戦後20年を経た当時の世相を背景に熱いドラマが描かれています。
吉本さんは、『ブラックジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~』(原作/宮崎克)で、これまでもマンガ家と編集者たちの創作にかける熱いドラマを描いています。
描かれているキャラクターは吉本さん独特のタッチですが、それぞれの生き生きとした表情、その姿がリアルに息づいていて読者は惹きつけられます。
第1巻では、のちにモンキー・パンチと名乗られることになる、加藤一彦さんを中心に描かれました。元々文学青年だった清水さんが、加藤さんの絵に新たな風を感じ、作品を元々担当していた『週刊漫画』に掲載するようになったエピソードです。
ラストには、もう一人の立役者であり後に『柔侠伝』を描いたバロン・吉元さんが、編集部を訪れるシーンで終わりました。スーツでビシッと決め、アタッシュケースに原稿を入れた吉元さんの登場は、また次なる波を予感させるものでした。
第2巻は、その吉本さんと出会った清水さんが、モンキーパンチさんと二人を中心とした増刊『漫画ストーリー アクション特集号』を刊行するエピソードが中心です。
もちろん雑誌は、編集者一人の力で出来るものではありません。そこには、堤任さんや、石神信也さん、豊田浩明さんと、社内を横断した清水さんの理想に共鳴する心強い同志がいました。
他にも、清水さんの求める新しい感覚に合う執筆者が集まった増刊は、売り切れ店続出で評判となりました。
この成功によって、清水さんは「漫画で文学をするんだ」と思いを強くし、新雑誌創刊をなんと社長に直訴します。そして新たに編集部を立ち上げ、更に4人の編集者も揃うことになりました。
驚いたのは、この4人の編集部員の中に、後に『兵隊さん物語』や『極楽町一丁目』などを描かれる二階堂正宏さんもいたことです。私も朝日ソノラマの『月刊マンガ少年』などで、とぼけた二階堂さんの作品は好みでしたが、創刊時の編集者だったことは初めて知りました。
巻末に収録された、バロン吉元さんのインタビューも、当時の思いを語っておられており貴重です。
物語は『週刊漫画アクション』立ち上げの7人の侍が揃い、モンキー・パンチさんも「ルパン」を主人公にした新たなマンガを構想し始めたところで終ります。
今回も圧倒的なストーリーと熱量に引き込まれ、一気に読んでしまいました。また3巻の刊行が待たれます。

双葉社アクションコミックス『ルーザーズ ~日本初の青年漫画誌の誕生~』第2巻 吉本浩二著
新たに参加された編集者たちの奮闘する姿の今後の活躍も楽しみです。
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