昭和30年代のスーパーヒーロー『スーパーゼット』第3巻
- 2019/03/16
- 09:31
昨年2月から、復刻がスタートした昭和30年代のスーパーヒーローもの『スーパーゼット』(原作/宮川一郎 絵/天馬正人)。7月に第2巻が刊行され、7ヶ月を経て第3巻が刊行されました。
『スーパーゼット』は、戦前から続いた講談社の老舗雑誌『少年クラブ』に、1959年(昭和34年)7月号から1961年(昭和36年)9月号まで2年間連載されました。
原作の宮川一郎さんは、和製スーパーヒーローの元祖『スーパージャイアンツ』の原作者でもあります。
宇津井健さん主演でおなじみの映画『スーパージャイアンツ』は、1957年(昭和32年)7月に新東宝系で第一作『鋼鉄の巨人』(石井輝男監督)が公開され、大人気となりました。
その後、『続鋼鉄の巨人』、『鋼鉄の巨人 怪星人の魔城』、『鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前』などなど、1959年(昭和34年)6月までの二年間で9作が公開されています。
テレビもまだ普及しておらず、映画が娯楽のメインだった時代です。立て続けに新作が上映されていたことも、当時の人気の凄さを物語っています。
後にタツノコプロ創設に参加された天馬さんも、『スーパージャイアンツ』の描き下ろし単行本を手掛けています。スーパーゼット頭部のV字のデザインは、後の『新造人間キャシャーン』の元祖のようにも思えます。この二人による『スーパージャイアンツ』に次ぐ新たなヒーローが、『スーパーゼット』なのです。
連載当時、まだSFスーパーヒーローものは珍しくかなりの人気だったようですが、なぜか単行本化はされませんでした。その後も、なつ漫ブームや、復刻ラッシュの頃も単行本化には一切無縁な作品でした。
原稿も散逸し、復刻のためには掲載誌を探すしかありません。ただ、国会図書館などで収蔵してある本誌は辿れます。しかし当時は別冊付録の全盛期だったので、本誌だけでは完全収録は出来なかったのです。
それが今回アップルBOXクリエートの掲載誌の探求、そして印刷物からの地道な原稿修正作業でなんと初出以来60年振りに単行本としてまとめられたのです。
第3巻では、第2巻の続きの「毒ぐもタルタゴス」編、宇宙から現れた吸血こうもりとの戦いを描く「吸血こうもり」編、透明な怪魚を操る謎のヘビ博士と対決する「地底の怪魚」編の三篇が収録されています。
「吸血こうもり」編では、国技館が登場します。吸血こうもりアジャールが、人気力士である朝潮対柏戸の取組中に、襲撃してくるのです。「毒ガス島の秘密」編で長嶋茂雄を描いたりと、天馬さんのサービス精神が表れているようです。
またストーリーも吸血鬼や、海底人、毒ぐも、恐竜、獣人などの登場とバラエティに富んでおり、さすがは『スーパージャイアンツ』の生みの親である宮川さんです。
「地底の怪魚」編は、まだエピソードの途中です。透明な怪魚ブラノラマ、そして謎のヘビ博士の正体も明かされ、ますますストーリーは緊迫していきます。4巻の展開がまた楽しみです。

アップルBOXクリエート刊『スーパーゼット』第3巻
連載原稿のボリュームからみて、次の4巻で完結でしょう。
神保町の夢野書店や、まんだらけでも委託販売されています。
■『スーパーゼット』関連記事
60年の時を経て、あのヒーローが帰ってきた!
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原作の宮川一郎さんは、和製スーパーヒーローの元祖『スーパージャイアンツ』の原作者でもあります。
宇津井健さん主演でおなじみの映画『スーパージャイアンツ』は、1957年(昭和32年)7月に新東宝系で第一作『鋼鉄の巨人』(石井輝男監督)が公開され、大人気となりました。
その後、『続鋼鉄の巨人』、『鋼鉄の巨人 怪星人の魔城』、『鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前』などなど、1959年(昭和34年)6月までの二年間で9作が公開されています。
テレビもまだ普及しておらず、映画が娯楽のメインだった時代です。立て続けに新作が上映されていたことも、当時の人気の凄さを物語っています。
後にタツノコプロ創設に参加された天馬さんも、『スーパージャイアンツ』の描き下ろし単行本を手掛けています。スーパーゼット頭部のV字のデザインは、後の『新造人間キャシャーン』の元祖のようにも思えます。この二人による『スーパージャイアンツ』に次ぐ新たなヒーローが、『スーパーゼット』なのです。
連載当時、まだSFスーパーヒーローものは珍しくかなりの人気だったようですが、なぜか単行本化はされませんでした。その後も、なつ漫ブームや、復刻ラッシュの頃も単行本化には一切無縁な作品でした。
原稿も散逸し、復刻のためには掲載誌を探すしかありません。ただ、国会図書館などで収蔵してある本誌は辿れます。しかし当時は別冊付録の全盛期だったので、本誌だけでは完全収録は出来なかったのです。
それが今回アップルBOXクリエートの掲載誌の探求、そして印刷物からの地道な原稿修正作業でなんと初出以来60年振りに単行本としてまとめられたのです。
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またストーリーも吸血鬼や、海底人、毒ぐも、恐竜、獣人などの登場とバラエティに富んでおり、さすがは『スーパージャイアンツ』の生みの親である宮川さんです。
「地底の怪魚」編は、まだエピソードの途中です。透明な怪魚ブラノラマ、そして謎のヘビ博士の正体も明かされ、ますますストーリーは緊迫していきます。4巻の展開がまた楽しみです。

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連載原稿のボリュームからみて、次の4巻で完結でしょう。
神保町の夢野書店や、まんだらけでも委託販売されています。
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