魅力あふれる「タツ・マゴ」作品 その３

■　『ブロッカー軍団Ⅳ　マシーンブラスター』②

日本アニメーションも１９７６年当時、スタジオでは『母をたずねて三千里』や『ピコリーノの冒険』、『リトル・ルルとちっちゃい仲間』などを製作しフル稼働だったはずです。

　ただ、実際の製作を外部のプロダクションに委ねる形では、１０月からは土田プロと『ドカベン』（原作／水島新司）を、翌年１９７７年９月からはシンエイ動画と『おれは鉄兵』（原作／ちばてつや）などを、次々にスタートさせました。　

　日本アニメーションと初期に『マシーンブラスター』で組んだ葦プロは、以降も同形態で『超合体ロボ　ギンガイザー』、『女王陛下のプティ・アンジェ』などを、製作していきます。
　その後は独立し、『くじらのホセフィーナ』（原作／ホセマリア・サンチェスシルバ）という海外の児童文学作品を手掛け、国際映画社と組んだ『宇宙戦士バルディオス』や、『魔法のプリンセス　ミンキーモモ』など人気作を発表しています。

　その間一貫して同社の作画部門を支え続けてこられた田中保さんの活躍は、特筆すべきことでしょう。『紅三四郎』や『みなしごハッチ』など、初期タツノコ作品には欠かせないアニメーターである田中さんは、吉田竜夫さんの信頼も厚く、とても頼りにされていた方だと、義弟でもあるプロデュ－サー・柴田勝さんに以前伺ったことがあります。

　『決断』の企画が決まり、その作画監督に指名されることになった田中さんは、あまりのリアルな作画を推し進めた路線に違和感を覚え退社されました。ただ、その後タツノコプロの社運を賭けた『科学忍者隊ガッチャマン』のスタートの際には指名を受け、須田正巳さんと二人で記念すべき第一話の原画に参加されました。
　『マッハＧＯＧＯＧＯ』や『紅三四郎』など、初期タツノコ作品のリアル路線の作画を吉田竜夫さんと机を並べて担当されてきた方ですので、その作画に古き良きタツノコ調を感じるのも私だけではないでしょう。

　『マシーンブラスター』や『宇宙戦士バルディオス』でも、そのタッチは健在でした。『マシーンブラスター』の時は、新興プロダクションゆえアニメーターの数も足りなくて穴が開きそうなピンチになり、一晩で徹夜して８０カットもの原画を描いたこともあったそうです。
　そんな田中さんの超人的な活躍もあったからこそ、ということを忘れることは出来ません。（つづく）