『漫画アクション』誕生秘話を描いた『ルーザーズ』完結
- 2019/08/07
- 22:30
『ブラックジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~』(原作/宮崎克)を描いた吉本浩二さんの新作、『ルーザーズ ~日本初の青年漫画誌の誕生~』が第3巻で完結を迎えました。
これは、日本初の青年漫画誌である『週刊漫画アクション』の創刊を描いたノンフィクション・マンガです。
物語のキーとなったのは、初代編集長となった清水文人さんです。私も清水さんのお名前は、学生時代から目にしていました。
『じゃりんこチエ』(はるき悦巳)や『がんばれ!タブチくん』(いしいひさいち)、そして大友克洋さんの一連の単行本など、アクションコミックスの発行人としておなじみだったからです。
『じゃりんこチエ』や『がんばれタブチくん』に初めて出会ったときのことは、今も覚えています。当時は、まだ中学生でしたので雑誌連載時は知りませんでしたが、コミックスを書店で見つけ、パラパラっと読んで即レジに持って走りました。
今まで読んでいた少年マンガとは違う面白さが、そこにはあったのです。
それまでも、モンキーパンチさんの『ルパン三世』やバロン吉元さんの『柔侠伝』など、双葉社のコミックス作品はどこか他社とは違うと感じていました。
長年不思議に思っていたのですが、今回の『ルーザーズ』で初めてその理由が分かったような気がします。
元々文芸がやりたかった清水さんたち編集者たちは、漫画で文学作品のように「人間」を描こうとします。それは、ラスト近くにも清水文人さんのセリフで「この『漫画アクション』という雑誌は、俺の「文学」なんだ」と、ストレートな表現で出てきます。
第1巻のモンキー・パンチさんとの出会い、そして第2巻のバロン吉元さんとのエピソードに比べると、第3巻は『週刊漫画アクション』の創刊を迎え、その後の物語は少々駆け足のような感じもしました。
創刊時に増員された編集部員、それぞれの奮闘振りも描かれます。欲を言えば、後に看板作品となった『子連れ狼』(原作/小池一夫 画/小島剛夕)などのエピソードも、著者の病気の時だけではなく、清水さんが関わったエピソードももっと読みたかったところです。
『漫画アクション』は、その後実売で苦戦し、いったん休刊した時期もありましたが、「マンガで文学する」というテーマは、今も受け継がれているのでしょう。
マンガも読者も、そして編集者も若かった時代が、吉本浩二さんのペンにより熱く描き出され、出版に携わる者として刺激を受けました。
編集者として雑誌とマンガを創り続けた清水文人さんと、この魅力的な人物をマンガで再現してくれた吉本浩二さんに感謝です。

双葉社アクションコミックス『ルーザーズ ~日本初の青年漫画誌の誕生~』第3巻 吉本浩二著
「アクションコミックス・アニメ版」に、『マリンエキスプレス』や『フウムーン』などが収録された理由がちょっと分かった気がします。
手塚さんもきっと、清水さんのマンガに賭ける真剣さに打たれたのでしょう。
これは、日本初の青年漫画誌である『週刊漫画アクション』の創刊を描いたノンフィクション・マンガです。
物語のキーとなったのは、初代編集長となった清水文人さんです。私も清水さんのお名前は、学生時代から目にしていました。
『じゃりんこチエ』(はるき悦巳)や『がんばれ!タブチくん』(いしいひさいち)、そして大友克洋さんの一連の単行本など、アクションコミックスの発行人としておなじみだったからです。
『じゃりんこチエ』や『がんばれタブチくん』に初めて出会ったときのことは、今も覚えています。当時は、まだ中学生でしたので雑誌連載時は知りませんでしたが、コミックスを書店で見つけ、パラパラっと読んで即レジに持って走りました。
今まで読んでいた少年マンガとは違う面白さが、そこにはあったのです。
それまでも、モンキーパンチさんの『ルパン三世』やバロン吉元さんの『柔侠伝』など、双葉社のコミックス作品はどこか他社とは違うと感じていました。
長年不思議に思っていたのですが、今回の『ルーザーズ』で初めてその理由が分かったような気がします。
元々文芸がやりたかった清水さんたち編集者たちは、漫画で文学作品のように「人間」を描こうとします。それは、ラスト近くにも清水文人さんのセリフで「この『漫画アクション』という雑誌は、俺の「文学」なんだ」と、ストレートな表現で出てきます。
第1巻のモンキー・パンチさんとの出会い、そして第2巻のバロン吉元さんとのエピソードに比べると、第3巻は『週刊漫画アクション』の創刊を迎え、その後の物語は少々駆け足のような感じもしました。
創刊時に増員された編集部員、それぞれの奮闘振りも描かれます。欲を言えば、後に看板作品となった『子連れ狼』(原作/小池一夫 画/小島剛夕)などのエピソードも、著者の病気の時だけではなく、清水さんが関わったエピソードももっと読みたかったところです。
『漫画アクション』は、その後実売で苦戦し、いったん休刊した時期もありましたが、「マンガで文学する」というテーマは、今も受け継がれているのでしょう。
マンガも読者も、そして編集者も若かった時代が、吉本浩二さんのペンにより熱く描き出され、出版に携わる者として刺激を受けました。
編集者として雑誌とマンガを創り続けた清水文人さんと、この魅力的な人物をマンガで再現してくれた吉本浩二さんに感謝です。

双葉社アクションコミックス『ルーザーズ ~日本初の青年漫画誌の誕生~』第3巻 吉本浩二著
「アクションコミックス・アニメ版」に、『マリンエキスプレス』や『フウムーン』などが収録された理由がちょっと分かった気がします。
手塚さんもきっと、清水さんのマンガに賭ける真剣さに打たれたのでしょう。
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