「鉄道」特集の『まんだらけZENBU』94号
- 2019/08/25
- 09:00
隔月刊の『まんだらけZENBU 94号』が、8月に発売されました。
連載の「アニメーション・インタビュー」シリーズに今回登場されたのは、脚本家の酒井あきよしさんです。
酒井さんは高校から芝居を始め、大学時代は新聞社でのバイトの傍らシナリオ修行のため日活の企画部に出入りされました。大学卒業後には、いったん演劇やテレビ番組の照明の仕事に就かれます。
そして陶山智さんの誘いで、タツノコプロに入社され、『昆虫物語新みなしごハッチ』の構成や、『科学忍者隊ガッチャマン』、『新造人間キャシャーン』などで、印象に残る脚本を担当されました。
『キャシャーン』では、キャシャーンを否定する「キャシャーン無用の街」や「新造人間を造る街」。『宇宙の騎士テッカマン』では、正義の暴走を描く「失われた宇宙船」。『破裏拳ポリマー』では、車探偵長がホラマーに変身する異色作『いなずま怪人ピカデール』など、今でも記憶に残る数々のエピソードを執筆されています。
タツノコプロ退社後も古巣のタツノコ作品のほか、東映動画作品などに参加しつつ、『宇宙魔神ダイケンゴー』や、『宇宙戦士バルディオス』などオリジナル作品の原作・脚本も担当されています。
また『太陽戦隊サンバルカン』や、原田知世さんの『早春物語』など、実写ドラマも多数手掛けられました。
今回は、そんな酒井さんのシナリオ発想術の一端を、明かしていただきました。あの頃衝撃を受けた作品群がどういう発想から生み出されたのか、興味深いお話です。
恒例の巻頭特集は、「鉄道」です。新幹線になる前の特急「こだま号」のブリキ玩具のフォルムは、鉄道に憧れた子ども時代に引き戻してくれます。ブリキの蒸気機関車や流線型の電車など、ページをめくるだけでもワクワクしてきます。
モンキーパンチさんの追悼特集では、加東一彦名義の貸本作品から網羅され、資料的価値も大きいものです。
ビンテージでは、手塚治虫さん筆の昭和18年頃書かれた「昆蟲手帳」が、貴重な資料でしょう。また、アニメファンとしては、『白蛇伝』と『バンダーブック』の原画が気になりました。
東映動画長編第一作の『白蛇伝』の原画は、よくこんなものが残っていたな、と思えるほどの歴史的な資料です。
そして『バンダーブック』の原画は、原作者である手塚さんが描かれたバンダーを、作画監督である坂口尚さんが修正しているのです。普通だったら、原作者であり社長の描いた原画を直すことは、なかなか難しいことでしょう。それを許された、手塚さんと坂口さんの信頼関係の深さも分かるようです。
連載では、成瀬正祐さんの『護美之園』が好調です。今号では、あかしや書房の江戸川乱歩全集で、天馬正人さんの手による『魔法博士』と『妖人コング』を取り上げてくれました。「上手いのだが、品が良すぎてお色気という点では弱い」とは、おっしゃるとおりです。初めて読んだときには、少年向けのため健全すぎて確かに乱歩作品の持つ猥雑さは薄められていると感じました。
今回も、雑誌、原画、グッズなど盛りだくさんで、資料的にもまた価値のある内容でした。

『まんだらけZENBU 94号』(まんだらけ出版部刊)
堤哲哉さんの連載「カード馬鹿一代」の今回の特集は『白獅子仮面』です。また、新刊『特撮カードクロニクル』(辰巳出版)では、『秘密戦隊ゴレンジャー』やカルビーの『ウルトラマンA』など、40作品を収録したそうです。
連載の「アニメーション・インタビュー」シリーズに今回登場されたのは、脚本家の酒井あきよしさんです。
酒井さんは高校から芝居を始め、大学時代は新聞社でのバイトの傍らシナリオ修行のため日活の企画部に出入りされました。大学卒業後には、いったん演劇やテレビ番組の照明の仕事に就かれます。
そして陶山智さんの誘いで、タツノコプロに入社され、『昆虫物語新みなしごハッチ』の構成や、『科学忍者隊ガッチャマン』、『新造人間キャシャーン』などで、印象に残る脚本を担当されました。
『キャシャーン』では、キャシャーンを否定する「キャシャーン無用の街」や「新造人間を造る街」。『宇宙の騎士テッカマン』では、正義の暴走を描く「失われた宇宙船」。『破裏拳ポリマー』では、車探偵長がホラマーに変身する異色作『いなずま怪人ピカデール』など、今でも記憶に残る数々のエピソードを執筆されています。
タツノコプロ退社後も古巣のタツノコ作品のほか、東映動画作品などに参加しつつ、『宇宙魔神ダイケンゴー』や、『宇宙戦士バルディオス』などオリジナル作品の原作・脚本も担当されています。
また『太陽戦隊サンバルカン』や、原田知世さんの『早春物語』など、実写ドラマも多数手掛けられました。
今回は、そんな酒井さんのシナリオ発想術の一端を、明かしていただきました。あの頃衝撃を受けた作品群がどういう発想から生み出されたのか、興味深いお話です。
恒例の巻頭特集は、「鉄道」です。新幹線になる前の特急「こだま号」のブリキ玩具のフォルムは、鉄道に憧れた子ども時代に引き戻してくれます。ブリキの蒸気機関車や流線型の電車など、ページをめくるだけでもワクワクしてきます。
モンキーパンチさんの追悼特集では、加東一彦名義の貸本作品から網羅され、資料的価値も大きいものです。
ビンテージでは、手塚治虫さん筆の昭和18年頃書かれた「昆蟲手帳」が、貴重な資料でしょう。また、アニメファンとしては、『白蛇伝』と『バンダーブック』の原画が気になりました。
東映動画長編第一作の『白蛇伝』の原画は、よくこんなものが残っていたな、と思えるほどの歴史的な資料です。
そして『バンダーブック』の原画は、原作者である手塚さんが描かれたバンダーを、作画監督である坂口尚さんが修正しているのです。普通だったら、原作者であり社長の描いた原画を直すことは、なかなか難しいことでしょう。それを許された、手塚さんと坂口さんの信頼関係の深さも分かるようです。
連載では、成瀬正祐さんの『護美之園』が好調です。今号では、あかしや書房の江戸川乱歩全集で、天馬正人さんの手による『魔法博士』と『妖人コング』を取り上げてくれました。「上手いのだが、品が良すぎてお色気という点では弱い」とは、おっしゃるとおりです。初めて読んだときには、少年向けのため健全すぎて確かに乱歩作品の持つ猥雑さは薄められていると感じました。
今回も、雑誌、原画、グッズなど盛りだくさんで、資料的にもまた価値のある内容でした。

『まんだらけZENBU 94号』(まんだらけ出版部刊)
堤哲哉さんの連載「カード馬鹿一代」の今回の特集は『白獅子仮面』です。また、新刊『特撮カードクロニクル』(辰巳出版)では、『秘密戦隊ゴレンジャー』やカルビーの『ウルトラマンA』など、40作品を収録したそうです。
- 関連記事
-
- 平成のテレビの変遷史『テレビが映し出した平成という時代』
- 待望の『鎌倉ものがたり』35巻が発売
- 「鉄道」特集の『まんだらけZENBU』94号
- 『漫画アクション』誕生秘話を描いた『ルーザーズ』完結
- ある俳人の歩み 『藤原月彦全句集』