1979年(昭和54年)10月7日は、『
科学忍者隊ガッチャマンF(ファイター)』の放映開始日です。フジテレビ系の日曜日午後6時から、それまでの『ガッチャマンⅡ』の後を受ける形で始まりました。
タツノコプロの代表作とも言える『
科学忍者隊ガッチャマン』が前年に、『ガッチャマンⅡ』として復活し、それに続いた形でした。
前作で滅ぼしたはずの総裁Xの回路の一部が、新たな総裁Zとして甦ります。そして、全世界に暗然たる影響力を持っていたエゴボズラー・ファミリーと手を組み、ギャラクターを復活させるのです。
前作で、多くの犠牲を払い科学忍者隊たちは平和を取り戻します。
それなのに、また平和を脅かす強大な鉄獣メカが姿を現したのです。正直に言いますと、当時『ガッチャマン』の新作を見ることが出来るのはうれしかったのですが、また戦い続けなければならない健たち科学忍者隊がかわいそうに思えました。
『ガッチャマンⅡ』は、健やジョーたちの悩む姿も多く描かれたため、『ガッチャマンF』では、年齢層を下げ、楽しめるアクション作品を目指したようです。
そのため、新しいメカ・ガッチャスパルタンは、五人のメカが合体するのですが、合体後その上に健が仁王立ちして、「ガッチャマンフェンサー」という剣で、巨大な鉄獣メカを切り裂くのです。
内容は、メカも含め多少子ども向けになっていましたが、作画はまさにタツノコ調で、第一作をより進化させたようなタッチの回もあり、惚れ惚れしていました。
これは、宮本貞雄さんが作画監修で参加され、
河合静男さんがメインの作画監督としてクオリティを支えていたからでしょう。河合さんの太いメリハリのある描線のキャラクターたちは、タツノコリアル系作画のひとつの到達点でした。
敵のエゴボズラーも、それまでの2作と違う男性的な魅力がありました。肌の青い色には違和感も感じましたが、中田浩二さんの深みのある声も孤高の首領らしさにピッタリでした。そのうち彼自身の出自のエピソードや組織内の権力抗争も出てきて、タツノコ作品らしいドラマが用意されていました。
物語は、あまりに強大な力を持つ総裁Zに対抗していくうち、後半になると南部博士を失い健もハイパーシュートの多用により身体を蝕まれていきます。
ラストは、ガッチャマンたちの犠牲により平和を取り戻しますが、やはり科学忍者隊のメンバーや南部博士たちには幸せな結末を用意して欲しかったとは思いました。
作画的には多少バラつきもありましたが、
河合静男さんたちの力の入ったリアル系作画を存分に味合わせてもらえた、忘れられない作品です。
『科学忍者隊ガッチャマンF』原動画
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