『大恐竜時代』 祝 放映４０周年

　１９７９年（昭和５４年）１０月７日は、日本テレビ系で石森章太郎（現・石ノ森章太郎）さんの『大恐竜時代』が放映された日です。この日、１回だけの放映のスペシャルアニメでした。

　当時は、その２年前の『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開から端を発したアニメブームも盛り上がっており、各テレビ局でもスペシャルアニメが花盛りでした。

　『野球狂の詩』（原作／水島新司）のシリーズや、２４時間テレビでの手塚治虫作品『バンダーブック』、『海底超特急マリンエキスプレス』、そして日生アニメスペシャルなどの作品が、相次いで放映されたのです。

　これは、テレビ局やスポンサーも、それまでの子ども向け“テレビ漫画”から、ティーンエイジャーたち新たな“アニメファン”層の出現を知り、その世代向けに作り出し始めた動きの一環でした。　
　４月には『機動戦士ガンダム』がスタートし、夏には劇場版『銀河鉄道９９９』が公開されています。まさに、そんなちょっと年齢層を上げたアニメファン向けの作品が現れ始めた時期でした。

　そんな年に、テレビスペシャル『大恐竜時代』が、放映されたのです。
　石森章太郎さんの原作となっていましたが、それまでアニメ化された『サイボーグ００９』や、『原始少年リュウ』などと違い、原作となるマンガはありません。
　テレビ局の企画主導で、恐竜が活躍する作品をと石森さんにオーダーされたようです。しかも、『章太郎のファンタジーワールド　ジュン』の主人公ジュンを主役で、というリクエストでした。

　石森ファンにとっては、ジュンが初めてアニメの主役となったことはニュースでした。原作よりも年齢が少々下がった設定でしたが、画面で動くジュンの姿に喜んだ女性ファンも多かったようです。
　また、ティラノザウルスやトリケラトプスなど、恐竜たちの描写でも迫力の場面があり印象的でした。作画監督を担当された飯野皓さんが、以前に『原始少年リュウ』でも恐竜を描いており、得意とされていたこともあったからでしょう。

　飯野さんは、ジュンやレミ、ルルのお姉さんなど、石森キャラの特性である柔らかなキャラクターも再現しておられました。
　後にお聞きしましたところ、作画期間も３週間と少ないうえ海外作画が大半になり、当時は修正や新たな描き起こしなどで大変な作業だったそうです。

　当時は石森アニメが減っていた時期でしたので、単発とはいえオリジナルの新作はうれしいことでした。


『大恐竜時代』原画