中村和子さんに感謝
- 2019/10/20
- 09:13
アニメーターの中村和子さんが、8月3日に亡くなられたそうです。
中村和子さんは、虫プロの『鉄腕アトム』や『W3』、『リボンの騎士』、『千夜一夜物語』。そして『ふしぎなメルモ』、『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』など、手塚治虫さんのアニメーション作品には欠かすことの出来ないアニメーターでした。
満州生まれで戦後帰国され、大学卒業後に東映動画に入社。長編映画第一作『白蛇伝』に参加されます。
その後、ご結婚を機に東映動画を退社し、いったんは絵本作家の道に進まれます。
ですが、ご主人だった穴見薫さんが虫プロの役員だった関係で、『ある街角の物語』に参加されます。その後、日本初のテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』が人手不足でどうにもならなくなったため、またアニメの制作に戻されます。
元々、アニメーションに並々ならぬ情熱を持っていた手塚治虫さんの姿を、長編映画『西遊記』の制作時にご存知だった中村さんは、手塚さんのためならと復帰されたのです。
中村さんは、ご自身で眠ることの出来ない病気でした。そのため深夜、他のアニメーターがスタジオで死んだように寝ているときも、一人黙々と作画作業を続けていました。
真夜中にスタジオを訪れた手塚さんがそんな姿を見て、「仕事をしているのはワコさんだけですね」などと言われたこともあったそうです。
手塚さんも中村さんには絶大な信用を寄せ、女性キャラクターの作画はお任せでした。『アトム』のウランちゃんやゲストキャラクター、『W3』のボッコ隊長、『リボンの騎士』のサファイアなど、中村さんではのキャラクターも多数います。
後に東映動画の長編で『おやゆび姫』を製作する際も、手塚さんが「中村さんが参加しないなら僕はやりません」と言ったので、メインキャラの作監を担当されることになったそうです。
手塚さんが最後まで作りたかった『森の伝説』も、最初は中村さんが原画を描いておられました。虫プロ倒産のあおりで手塚さんもアニメどころでなくなり、この作品の制作もいったん中断してしまいます。
現在完成している『森の伝説』は、後に作られた別のバージョンですが、制作時のことなど以前懐かしく思い出していただきました。
お会いした時は70歳を越えていらっしゃいましたが、理知的でエレガントなお美しさは健在でした。
「ワコさん」とお呼びすることも快くお許しいただき、こちらが持参したお描きになった原画をお見せすると喜んでいただき、和やかにお話いただきました。
再婚されたご主人と穏やかに暮らされていた中村さんのお宅には、その後も手塚さんは訪れアニメーションの話をよくしていらっしゃったそうです。手塚さんも、同志と思っておられたのでしょう。
手塚さんの作品で魅力的なキャラクターを描いてこられた、素敵なワコさんに心より感謝いたします。

中村和子さんによる 『W3』『リボンの騎士』原画
中村和子さんは、虫プロの『鉄腕アトム』や『W3』、『リボンの騎士』、『千夜一夜物語』。そして『ふしぎなメルモ』、『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』など、手塚治虫さんのアニメーション作品には欠かすことの出来ないアニメーターでした。
満州生まれで戦後帰国され、大学卒業後に東映動画に入社。長編映画第一作『白蛇伝』に参加されます。
その後、ご結婚を機に東映動画を退社し、いったんは絵本作家の道に進まれます。
ですが、ご主人だった穴見薫さんが虫プロの役員だった関係で、『ある街角の物語』に参加されます。その後、日本初のテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』が人手不足でどうにもならなくなったため、またアニメの制作に戻されます。
元々、アニメーションに並々ならぬ情熱を持っていた手塚治虫さんの姿を、長編映画『西遊記』の制作時にご存知だった中村さんは、手塚さんのためならと復帰されたのです。
中村さんは、ご自身で眠ることの出来ない病気でした。そのため深夜、他のアニメーターがスタジオで死んだように寝ているときも、一人黙々と作画作業を続けていました。
真夜中にスタジオを訪れた手塚さんがそんな姿を見て、「仕事をしているのはワコさんだけですね」などと言われたこともあったそうです。
手塚さんも中村さんには絶大な信用を寄せ、女性キャラクターの作画はお任せでした。『アトム』のウランちゃんやゲストキャラクター、『W3』のボッコ隊長、『リボンの騎士』のサファイアなど、中村さんではのキャラクターも多数います。
後に東映動画の長編で『おやゆび姫』を製作する際も、手塚さんが「中村さんが参加しないなら僕はやりません」と言ったので、メインキャラの作監を担当されることになったそうです。
手塚さんが最後まで作りたかった『森の伝説』も、最初は中村さんが原画を描いておられました。虫プロ倒産のあおりで手塚さんもアニメどころでなくなり、この作品の制作もいったん中断してしまいます。
現在完成している『森の伝説』は、後に作られた別のバージョンですが、制作時のことなど以前懐かしく思い出していただきました。
お会いした時は70歳を越えていらっしゃいましたが、理知的でエレガントなお美しさは健在でした。
「ワコさん」とお呼びすることも快くお許しいただき、こちらが持参したお描きになった原画をお見せすると喜んでいただき、和やかにお話いただきました。
再婚されたご主人と穏やかに暮らされていた中村さんのお宅には、その後も手塚さんは訪れアニメーションの話をよくしていらっしゃったそうです。手塚さんも、同志と思っておられたのでしょう。
手塚さんの作品で魅力的なキャラクターを描いてこられた、素敵なワコさんに心より感謝いたします。

中村和子さんによる 『W3』『リボンの騎士』原画