魅力あふれる「タツ・マゴ」作品 その７

■　『テクノポリス２１Ｃ』①

　これまで、１９７６年から７８年の間に放映されたタツノコ調テレビアニメを、追ってきました。もう一作、テレビアニメではありませんが、ご紹介したい作品があります。
　それは、１９８２年（昭和５７年）に劇場公開された『テクノポリス２１Ｃ』です。

　元々は、１９７７年頃企画された作品で、キャラクターデザインは天野嘉孝さん、美術設定は中村光毅さん、そしてメカニックデザインや、ＳＦ設定には、スタジオぬえが参加する、意欲作でした。

　そもそもはテレビシリーズとして『フューチャーポリス　ダブルナイン』というタイトルで企画され、当初監督は石黒昇さん、シナリオ監修には佐々木守さん、シリーズ構成として高千穂遥さん、作画には、森利夫さんや中村一夫さんも予定されていたようです。
　セールスもあまりうまくいかず、タイトルも『テクノマン』などと、タイトルからは内容が分からないものにも変更されたこともありました。　

　この企画が二転三転していくうちに、いつしか出来上がっていたシナリオをまとめて、長編として制作することになったのでしょう。
　残念ながらその時には、予定していた石黒昇さんや中村光毅さんも他の作品に入っていたため、参加することが出来なかったそうです。

　結局、総監督は実写映画の松本正志さん、演出を担当されたのは「タイムボカン・シリーズ」でおなじみの大貫信夫さんでした。作画の主体となったのは、タツノコプロ出身のプロデューサー、永井昌嗣さんが率いるドラゴンプロダクションです。

　天野さんの元々のキャラクターは魅力的でしたが、本編では残念ながらタツノコ作品の特徴でもある、アニメーターたちが原案のイメージをより膨らませる作画とまでにはなりませんでした。
　ただ当時としては、線の異常に多い、ブレーダーやスキャニー、ビゴラスなどのテクロイドたちや、テムジンなどの戦車などを、ちゃんと動かしていたご苦労には頭が下がります。

　なにせ後半では、謎の新開発システムを搭載した重戦車テムジンがビルの林立する未来都市センチネルシティを暴れまわるのです。これを作画していったのですから、現場のアニメーターは大変な作業だったと思います。（つづく）


劇場公開時のチラシ　　舞台は２００１年となっています。制作時より２０年くらい先の時代の設定でした