中村英一さんにお会いしました
- 2019/11/23
- 09:58
長年『ドラえもん』の総作画監督を務められた、アニメーターの中村英一さんにお会いしてきました。
中村さんはシンエイ動画を退社後、アニメからは引退されていらっしゃいます。
今回は、『アタックNO,1』や、『侍ジャイアンツ』などの原画をご覧いただき、Aプロダクション時代のことを伺いました。
『アタックNO,1』では、テロップには出ていませんが、各話作監を担当されていたそうです。もう一人各話作監がいて、竹内留吉さんが総作画監督としてチェックする体制でした。鮎原こずえなど、女の子のキャラクターを可愛く描くコツがもあるそうです。それを、特別に教えていただきました。
アニメでは美少女キャラがおなじみですが、通常は目の大きさやまつげなどに注力しがちです。ただ目のパーツだけを強調してもダメで、本当に大事なのは口なのだそうです。位置もそうですが、唇の厚みなども想定して描いていくと、キャラクターの魅力が出るのです。
これは、マンガ的に簡略化された絵も同じで、そもそもそのキャラの頭蓋骨の配置まで考えて描くと上手く描き出せるとのことでした。
『侍ジャイアンツ』では、中村さんが描いた原画もあり驚いておられました。中村さんは、下書きはせずに色鉛筆でアタリをとってそのまま原画を描いていました。お持ちした番場蛮の原画も、そのまま描かれたものでした。一発描きが多かった中村さんは、この頃周囲から「ケチだから下書きしないんだ」などと言われたこともあったそうです。
ですが、「頭の中で一度下書きしていれば、描けるんですよ」と、笑って話してくれました。
また12年ぶりに描いたという、ドラえもんを見せていただきました。リニューアルまでの26年と、リニューアル後と合わせて28年描いてこられた中村さんの絵は、まさにあの頃のドラえもんでした。そして総作画監督で多忙時代の1982年に描いていた、オリジナルイラストも拝見しました。
中村さんは、本来はリアル調の画風でモジリアーニの絵などもお好みだったそうです。ですから、会社では『ドラえもん』を描きつつ、プライベートではオリジナルの絵も描いておられました。
アニメーター時代の後半から、右手の指を腱鞘炎で痛め、丸い線が描けなくなられたそうです。ですから、引退以来一切丸いキャラの絵も描いていらっしゃいませんでした。
久しぶりにドラえもんを描いて、放送からかなり経って藤子・F・不二雄さんから直接キャラクターの描き方をお聞き出来たことを思い出されたそうです。ドラえもんのヒゲの位置も、猫の様に鼻の下にするなど、細かい指摘もありました。
しずかちゃんの横顔を可愛くする方法は、直接はお聞きできなかったのですが、目の前で描くところを見せてもらえて得るものが大きかった、とおっしゃっていました。
中村さんの絵を見せていただきながら、久しぶりにいろいろとお話を伺えた一日でした。

中村英一さん
戦後の絵物語の話でも盛り上がりました。

1982年頃描かれたというオリジナルイラスト
中村さんはシンエイ動画を退社後、アニメからは引退されていらっしゃいます。
今回は、『アタックNO,1』や、『侍ジャイアンツ』などの原画をご覧いただき、Aプロダクション時代のことを伺いました。
『アタックNO,1』では、テロップには出ていませんが、各話作監を担当されていたそうです。もう一人各話作監がいて、竹内留吉さんが総作画監督としてチェックする体制でした。鮎原こずえなど、女の子のキャラクターを可愛く描くコツがもあるそうです。それを、特別に教えていただきました。
アニメでは美少女キャラがおなじみですが、通常は目の大きさやまつげなどに注力しがちです。ただ目のパーツだけを強調してもダメで、本当に大事なのは口なのだそうです。位置もそうですが、唇の厚みなども想定して描いていくと、キャラクターの魅力が出るのです。
これは、マンガ的に簡略化された絵も同じで、そもそもそのキャラの頭蓋骨の配置まで考えて描くと上手く描き出せるとのことでした。
『侍ジャイアンツ』では、中村さんが描いた原画もあり驚いておられました。中村さんは、下書きはせずに色鉛筆でアタリをとってそのまま原画を描いていました。お持ちした番場蛮の原画も、そのまま描かれたものでした。一発描きが多かった中村さんは、この頃周囲から「ケチだから下書きしないんだ」などと言われたこともあったそうです。
ですが、「頭の中で一度下書きしていれば、描けるんですよ」と、笑って話してくれました。
また12年ぶりに描いたという、ドラえもんを見せていただきました。リニューアルまでの26年と、リニューアル後と合わせて28年描いてこられた中村さんの絵は、まさにあの頃のドラえもんでした。そして総作画監督で多忙時代の1982年に描いていた、オリジナルイラストも拝見しました。
中村さんは、本来はリアル調の画風でモジリアーニの絵などもお好みだったそうです。ですから、会社では『ドラえもん』を描きつつ、プライベートではオリジナルの絵も描いておられました。
アニメーター時代の後半から、右手の指を腱鞘炎で痛め、丸い線が描けなくなられたそうです。ですから、引退以来一切丸いキャラの絵も描いていらっしゃいませんでした。
久しぶりにドラえもんを描いて、放送からかなり経って藤子・F・不二雄さんから直接キャラクターの描き方をお聞き出来たことを思い出されたそうです。ドラえもんのヒゲの位置も、猫の様に鼻の下にするなど、細かい指摘もありました。
しずかちゃんの横顔を可愛くする方法は、直接はお聞きできなかったのですが、目の前で描くところを見せてもらえて得るものが大きかった、とおっしゃっていました。
中村さんの絵を見せていただきながら、久しぶりにいろいろとお話を伺えた一日でした。

中村英一さん
戦後の絵物語の話でも盛り上がりました。

1982年頃描かれたというオリジナルイラスト