ナガノさんのシュールな世界『もぐらコロッケのうた』
- 2020/02/10
- 21:28
「自分ツッコミくま」でおなじみのナガノさんによる新刊が『MOGUMOGU食べ歩きくま』2巻に続けて昨年末に発売されていました。
講談社ワイドKC『自分ツッコミくまの本 もぐらコロッケのうた』です。
こちらは、ナガノさんがこれまでTwitterで発表された作品をまとめたものです。「自分ツッコミくま」は、とぼけたキャラクターが個性的で人気です。打首獄門同好会の『シャキッと! コーンのうた』のミュージックビデオでの、歌い踊る姿も楽しいものでした。
『MOGUMOGU食べ歩きくま』では、くまくんは作者の分身として、あちこちの美味しいものを食べ歩く姿が印象的です。そして、そのくまに時々同行しているもぐらコロッケくんたちが、『もぐらコロッケのうた』では主役ですので、刊行を楽しみにしていました。
年末発売でしたが、近所の書店では売り切れており、ようやく年明けに購入できました。
驚いたのが、普段の「自分ツッコミくま」の世界と違い、なかなかシュールで奥深い怖さもある内容だったことです。
くまくんが恐れるマレーグマ、いっぱいいるもぐらコロッケくん、誰でも餅きんちゃくにしてしまう暴走もちきんちゃく、可愛い外見に似合わず狂暴なチンチラ、白と灰色の怖いキャラなど、不思議で謎のキャラが続出します。
基本的に歌が好きなもぐらコロッケたちは、いつも合唱しています。ただ、合唱のラストの音程を上げるかそのままかで意見の違いが生まれ、一匹が出て行ってしまいます。
そこから、くまとパグも一緒になって出て行った仲間を探す旅が始まるのです。途中で、味方してくれるチュバカブラも、最初はくまとパグを柱に縛り付けてラーメンを食べるという、不思議なシチュエーションでの登場でした。このエピソードが連作で、長編となっています。くまくんそっくりだけど、無表情の白くまも不気味でした。
本書で一番気味が悪かったのは、「無限くら寿司」のエピソードです。くまとパグが、くら寿司で寿司を満喫しているのですが、パグがいつの間にかこのシチュエーションがループしていることに気づくのです。
なんとかこの無限ループから脱出することを試みますが、なかなか出来ません。最後はようやく脱出することが出来るのですが、誰が何のためにこれを仕組んだのかも一切語られないままです。
これはシチュエーションを考えるとかなり怖いエピソードで、印象的でした。
ナガノさんの世界のかわいいだけではないシュールな一面が読める、興味深い一冊でした。

ナガノ著『自分ツッコミくまの本 もぐらコロッケのうた』(講談社ワイドKC)
講談社ワイドKC『自分ツッコミくまの本 もぐらコロッケのうた』です。
こちらは、ナガノさんがこれまでTwitterで発表された作品をまとめたものです。「自分ツッコミくま」は、とぼけたキャラクターが個性的で人気です。打首獄門同好会の『シャキッと! コーンのうた』のミュージックビデオでの、歌い踊る姿も楽しいものでした。
『MOGUMOGU食べ歩きくま』では、くまくんは作者の分身として、あちこちの美味しいものを食べ歩く姿が印象的です。そして、そのくまに時々同行しているもぐらコロッケくんたちが、『もぐらコロッケのうた』では主役ですので、刊行を楽しみにしていました。
年末発売でしたが、近所の書店では売り切れており、ようやく年明けに購入できました。
驚いたのが、普段の「自分ツッコミくま」の世界と違い、なかなかシュールで奥深い怖さもある内容だったことです。
くまくんが恐れるマレーグマ、いっぱいいるもぐらコロッケくん、誰でも餅きんちゃくにしてしまう暴走もちきんちゃく、可愛い外見に似合わず狂暴なチンチラ、白と灰色の怖いキャラなど、不思議で謎のキャラが続出します。
基本的に歌が好きなもぐらコロッケたちは、いつも合唱しています。ただ、合唱のラストの音程を上げるかそのままかで意見の違いが生まれ、一匹が出て行ってしまいます。
そこから、くまとパグも一緒になって出て行った仲間を探す旅が始まるのです。途中で、味方してくれるチュバカブラも、最初はくまとパグを柱に縛り付けてラーメンを食べるという、不思議なシチュエーションでの登場でした。このエピソードが連作で、長編となっています。くまくんそっくりだけど、無表情の白くまも不気味でした。
本書で一番気味が悪かったのは、「無限くら寿司」のエピソードです。くまとパグが、くら寿司で寿司を満喫しているのですが、パグがいつの間にかこのシチュエーションがループしていることに気づくのです。
なんとかこの無限ループから脱出することを試みますが、なかなか出来ません。最後はようやく脱出することが出来るのですが、誰が何のためにこれを仕組んだのかも一切語られないままです。
これはシチュエーションを考えるとかなり怖いエピソードで、印象的でした。
ナガノさんの世界のかわいいだけではないシュールな一面が読める、興味深い一冊でした。

ナガノ著『自分ツッコミくまの本 もぐらコロッケのうた』(講談社ワイドKC)
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