落語界有数のマンガマニア、金原亭馬好さんを偲んで
- 2020/03/20
- 07:44
昨年3月19日、落語家の金原亭馬好さんが70歳で亡くなられました。今年で一周忌を迎えます。
五代目馬好さんこと近藤雄三さんは、昭和23年(1948年)台東区龍泉寺町のお生まれです。子どもの頃からマンガ好きで、中学に入ると持ち前の度胸でマンガ家さんの家を訪ね歩きました。
この頃は牧歌的な時代で、各マンガのページ柱にはファンレターのあて先として、各先生のご住所も掲載されました。それを頼りにご自身のマンガ原稿を持って、精力的に訪ねていたそうです。
当時、伊東章夫さんや馬場のぼるさん、ちばてつやさん、石ノ森章太郎さん、赤塚不二夫さん、貝塚ひろしさん、棚下照生さん、前谷惟光さんなど、そうそうたる人気マンガ家にお目にかかっておられます。トキワ荘も訪れたことがあるということで、後にこのテーマで講演もされたこともあります。
馬好さんはその後噺家の道に進まれましたが、マンガ好きは変わりませんでした。ご趣味も「懐マン」収集ということで、本業の傍らで一時期通販専門のマンガ古書店も手掛けていらっしゃいました。
私はそのご縁で、お付き合いさせていただきました。
屋号は「ばこう書店」で、当初は送られてくる目録で注文させていただくだけです。ですが、いつからか、その目録に店主によるマンガ少年時代の回想録が不定期に掲載されるようになったのです。
これが大変面白く、毎回その感想をお送りしました。それを喜んでくださったのでしょう。そのうちお電話を頂くようになり、昔の漫画についていろいろとお話しさせていただくようになりました。
馬好さんは江戸っ子らしい話っぷりで、昔のことをお聞きできていつも楽しい時間でした。
こちらも、まさかばこう書店の近藤さんが噺家さんなどとは分りません。世代を超えたマンガファン同士として、意気投合させていただいているつもりでした。
そのうち「こんな話を思い出した」とか「あの時こんなこともあった」とか、やりとりしているうちに思い出されて、「星さんと話していると、いろいろネタが出てくるから楽しいんですよ」ともおっしゃっていただきました。「こんな話はネタになりますかね。だけどそれじゃオチにならないなあ」などと、ヤケに起承転結に厳しいとは思いましたが、まさかご本職が落語家だとは思いもしませんでした。
その後、私は引越して電話番号も変わってしまい、目録も途絶えたことでやりとりがなくなった時期がありました。何年か経ち、人を介して落語家の金原亭馬好さんが連絡を取りたがっていると聞きました。落語家さんに知り合いはいませんが、「ばこう」さんとお聞きしてようやく合点がいきました。
神保町で水野英子さんとのトークショーが開かれた際は、初めてご挨拶をさせていただきました。終演後いきなり名乗りましたから驚かせてしまいましたが、とても喜んでくださりそのうち一杯飲みましょうとご丁寧なお礼状もいただきました。
今度は、寄席にお訪ねしようと思っていたのですが、その機会はもう無くなってしまいました。
あの頃、懐かしい漫画談議でうれしそうにいつもお話しくださった馬好さんの声は、今も忘れられません。

金原亭馬好さん

馬好さんの「ばこう書店 漫画古書目録」
連載がいつも面白く、その後も保存していました。
馬好さんも失くされた号もあったようで、その後コピーをお送りすると
とても喜んでくれました。
五代目馬好さんこと近藤雄三さんは、昭和23年(1948年)台東区龍泉寺町のお生まれです。子どもの頃からマンガ好きで、中学に入ると持ち前の度胸でマンガ家さんの家を訪ね歩きました。
この頃は牧歌的な時代で、各マンガのページ柱にはファンレターのあて先として、各先生のご住所も掲載されました。それを頼りにご自身のマンガ原稿を持って、精力的に訪ねていたそうです。
当時、伊東章夫さんや馬場のぼるさん、ちばてつやさん、石ノ森章太郎さん、赤塚不二夫さん、貝塚ひろしさん、棚下照生さん、前谷惟光さんなど、そうそうたる人気マンガ家にお目にかかっておられます。トキワ荘も訪れたことがあるということで、後にこのテーマで講演もされたこともあります。
馬好さんはその後噺家の道に進まれましたが、マンガ好きは変わりませんでした。ご趣味も「懐マン」収集ということで、本業の傍らで一時期通販専門のマンガ古書店も手掛けていらっしゃいました。
私はそのご縁で、お付き合いさせていただきました。
屋号は「ばこう書店」で、当初は送られてくる目録で注文させていただくだけです。ですが、いつからか、その目録に店主によるマンガ少年時代の回想録が不定期に掲載されるようになったのです。
これが大変面白く、毎回その感想をお送りしました。それを喜んでくださったのでしょう。そのうちお電話を頂くようになり、昔の漫画についていろいろとお話しさせていただくようになりました。
馬好さんは江戸っ子らしい話っぷりで、昔のことをお聞きできていつも楽しい時間でした。
こちらも、まさかばこう書店の近藤さんが噺家さんなどとは分りません。世代を超えたマンガファン同士として、意気投合させていただいているつもりでした。
そのうち「こんな話を思い出した」とか「あの時こんなこともあった」とか、やりとりしているうちに思い出されて、「星さんと話していると、いろいろネタが出てくるから楽しいんですよ」ともおっしゃっていただきました。「こんな話はネタになりますかね。だけどそれじゃオチにならないなあ」などと、ヤケに起承転結に厳しいとは思いましたが、まさかご本職が落語家だとは思いもしませんでした。
その後、私は引越して電話番号も変わってしまい、目録も途絶えたことでやりとりがなくなった時期がありました。何年か経ち、人を介して落語家の金原亭馬好さんが連絡を取りたがっていると聞きました。落語家さんに知り合いはいませんが、「ばこう」さんとお聞きしてようやく合点がいきました。
神保町で水野英子さんとのトークショーが開かれた際は、初めてご挨拶をさせていただきました。終演後いきなり名乗りましたから驚かせてしまいましたが、とても喜んでくださりそのうち一杯飲みましょうとご丁寧なお礼状もいただきました。
今度は、寄席にお訪ねしようと思っていたのですが、その機会はもう無くなってしまいました。
あの頃、懐かしい漫画談議でうれしそうにいつもお話しくださった馬好さんの声は、今も忘れられません。

金原亭馬好さん

馬好さんの「ばこう書店 漫画古書目録」
連載がいつも面白く、その後も保存していました。
馬好さんも失くされた号もあったようで、その後コピーをお送りすると
とても喜んでくれました。
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