1980年(昭和55年)6月30日、テレビ東京で『
宇宙戦士バルディオス』がスタートしました。今年で40周年を迎えます。
『バルディオス』は、葦プロと国際映画社の作品です。実際に制作を担当した葦プロは、それまで日本アニメーションで『ブロッカー軍団Ⅳ マシーンブラスター』や『超合体魔術ロボ ギンガイザー』を制作していました。どれも、オリジナルのロボットアニメです。
同社の第一作となる『マシーンブラスター』は、どことなくタツノコプロの雰囲気が強いものでした。キャラクターデザインは高橋資祐さん、メカニックデザインは大河原邦男さん。美術は新井寅雄さん。演出は、案納正美さん。作画監督に田中保さん。作画に須田正己さんなどなど、タツノコ作品のスタッフが参加していたのです。原作と脚本の八田朗さんも、タツノコ作品でおなじみの山本優さんのペンネームでした。
その葦プロが制作する、新作ロボットアニメです。雑誌の予告記事で知り、楽しみにしていました。
まずオープニングの上條修さんによる、劇画調作画が魅力的でした。描きこまれたリアルなタッチだったのですが暖かみと品があり、主人公マリンの持つ哀愁も表現されていたのです。
そして、本編ではメインは田中保さんによる端正で優しい絵柄でした。こちらも、『紅三四郎』や『マシーンブラスター』のように、簡略化した線で表現されたキャラクターたちが魅力的でした。
監督だった広川和行(廣川集一)さんが、酒井あきよしさん脚本の人間ドラマをしっかりと描き出したからこそ、それぞれに存在感も出ていたのでしょう。
マリンの異星人であるが故の寂しさや周囲との葛藤、アフロディアとの敵同士の悲恋など回を重ねるごとに大人のドラマが展開していき、目を離すことができませんでした。
総作監制ではなかったので、各話ごとの作画の違いでも、それぞれのテイストを楽しめました。
東映動画班も何故か参加していましたが、実際は韓国班だったようです。これは国際映画社との関係かもしれません。当時のレイアウトや原画で、指示のハングル文字を見たことがあります。
アニメファン的には、スタジオZ5の参加が注目でした。その回は、マリンやアフロディアが特に美形になり、メカニックもシャープでダイナミックになるのです。
また新人時代のいのまたむつみさんも原画で参加されたりと、作画もバラエティに富んでいました。
残念ながら、スポンサーの経営不振もありシリーズ途中で終了を迎えます。突然の最終回はショックでした。応援する気持ちもあり、この頃スタッフが作った本来の最終話まで紹介する豪華本も購入しました。
その後、劇場版で無事完結を迎えましたが、出来ればラストはやはり愛着のある田中保さんや上條修さんの絵で、見たかったと思いました。
大河ドラマのような物語と味のあるキャラクターたち、そして作画まで、今でも忘れられない作品です。
『宇宙戦士バルディオス』動画
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