『エースをねらえ! COMPLETE DVD BOOK』VOL.1 VOL.2
- 2020/07/11
- 06:30
『あしたのジョー』や『あしたのジョー2』、『宝島』、『ガンバの冒険』、そして『スペースコブラ』と、出崎統さん監督作品を刊行してきたぴあから新刊が出ました。
1973年(昭和48年)10月から、1974年3月まで放映された、東京ムービーの『エースをねらえ!』(原作/山本鈴美香)です。
5月に第1話から第9話までを収録したVOL.1が発売され、6月24日には、第10話から第18話までを収録したVOL.2が発売されました。
アニメファンには『旧エース』としておなじみですが、私は本放送時は未見でした。少女マンガということで敬遠していたのですが、そのうち学年も上がって原作を読むことができました。そして、再放送で見る機会もあり、原作のような等身大の青春像が描かれていることに驚かされました。
それまで女性マンガ家作品原作のテレビアニメといえば、1969年(昭和44年)の『アタックNO.1』(原作/浦野千賀子)や、72年(昭和47年)の『モンシェリCoCo』(原作/大和和紀)などがありました。
また『魔法使いサリー』(原作/横山光輝)や、『魔法マコちゃん』(原作/浦川しのぶ)など魔法少女ものや、『さすらいの太陽』(原作/藤川桂介 まんが/すずき真弓)も、ありました。
ただ、他の同時期の他の作品とも作画のテイストは似ており、違和感もそれほどありませんでした。
ですが、この『エースをねらえ!』は、それまでとはどこか違っていました。
主人公が10代の女子高校生だったということも、そうかもしれません。そして、それだけではなく、原作の少女マンガの世界がそのまま映像化されているように感じたのです。
第1話の主人公のモノローグからそうでしたが、当時の女の子の等身大の思いや10代の微妙な気分のようなものまでが、表現されていたからかもしれません。
ペタっとしていない水彩調の背景画も透明感があり、雰囲気がありました。そしてなにより、杉野昭夫さんのキャラクターの表現が、繊細で原作のタッチを生かしていました。
当時、ここまで微妙な表現ができたのは杉野さんだけだったかもしれません。線一本ずれただけでも、キャラクターが変わってしまう、とても難しい絵でもありました。
実際に一緒に作画監督を担当された『ガンバの冒険』の椛島義夫さんと『新ルパン三世』の北原健雄さんからも、あのキャラクターは描けなくて苦労したと、お二人から後にお聞きしたこともあります。
この作品の絵の魅力は、今も色褪せることはありません。そしてこの世界をおし進めた形として、『劇場版 エースをねらえ!』に結実したのでしょう。
久しぶりに出崎さんと杉野さんによる、テレビシリーズ『エースをねらえ!』を堪能したいと思います。

ぴあ刊『エースをねらえ! COMPLETE DVD BOOK』VOL.1 VOL.2
ブックレットには、版権原画や設定なども掲載されています。

『エースをねらえ!』修正原画
杉野さんによる繊細なタッチの修正原画も、次のブックレットに掲載されるとうれしいです。
1973年(昭和48年)10月から、1974年3月まで放映された、東京ムービーの『エースをねらえ!』(原作/山本鈴美香)です。
5月に第1話から第9話までを収録したVOL.1が発売され、6月24日には、第10話から第18話までを収録したVOL.2が発売されました。
アニメファンには『旧エース』としておなじみですが、私は本放送時は未見でした。少女マンガということで敬遠していたのですが、そのうち学年も上がって原作を読むことができました。そして、再放送で見る機会もあり、原作のような等身大の青春像が描かれていることに驚かされました。
それまで女性マンガ家作品原作のテレビアニメといえば、1969年(昭和44年)の『アタックNO.1』(原作/浦野千賀子)や、72年(昭和47年)の『モンシェリCoCo』(原作/大和和紀)などがありました。
また『魔法使いサリー』(原作/横山光輝)や、『魔法マコちゃん』(原作/浦川しのぶ)など魔法少女ものや、『さすらいの太陽』(原作/藤川桂介 まんが/すずき真弓)も、ありました。
ただ、他の同時期の他の作品とも作画のテイストは似ており、違和感もそれほどありませんでした。
ですが、この『エースをねらえ!』は、それまでとはどこか違っていました。
主人公が10代の女子高校生だったということも、そうかもしれません。そして、それだけではなく、原作の少女マンガの世界がそのまま映像化されているように感じたのです。
第1話の主人公のモノローグからそうでしたが、当時の女の子の等身大の思いや10代の微妙な気分のようなものまでが、表現されていたからかもしれません。
ペタっとしていない水彩調の背景画も透明感があり、雰囲気がありました。そしてなにより、杉野昭夫さんのキャラクターの表現が、繊細で原作のタッチを生かしていました。
当時、ここまで微妙な表現ができたのは杉野さんだけだったかもしれません。線一本ずれただけでも、キャラクターが変わってしまう、とても難しい絵でもありました。
実際に一緒に作画監督を担当された『ガンバの冒険』の椛島義夫さんと『新ルパン三世』の北原健雄さんからも、あのキャラクターは描けなくて苦労したと、お二人から後にお聞きしたこともあります。
この作品の絵の魅力は、今も色褪せることはありません。そしてこの世界をおし進めた形として、『劇場版 エースをねらえ!』に結実したのでしょう。
久しぶりに出崎さんと杉野さんによる、テレビシリーズ『エースをねらえ!』を堪能したいと思います。

ぴあ刊『エースをねらえ! COMPLETE DVD BOOK』VOL.1 VOL.2
ブックレットには、版権原画や設定なども掲載されています。

『エースをねらえ!』修正原画
杉野さんによる繊細なタッチの修正原画も、次のブックレットに掲載されるとうれしいです。
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