SF作家が振り返るテレビアニメの創世記『日本アニメ誕生』
- 2020/09/05
- 06:30
豊田有恒さんの新刊『日本アニメ誕生』(勉誠出版)を読みました。
SF作家として知られる豊田さんですが、テレビアニメ黎明期にはシナリライターとして『エイトマン』や『鉄腕アトム』に参加しておられました。
本書ではアニメ専業のシナリオライター第一号でもあった豊田さんが、その時代から『宇宙戦艦ヤマト』や、多くのクリエイターを輩出したパラレルクリエーション設立までを回顧してくれています。
これまでも豊田さんは、『日本SFアニメ創世記 虫プロ、そしてTBS漫画ルーム』(TBSブリタニカ)や、『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 -いかに誕生し、進化したか』(祥伝社)などで、アニメ時代のことを振り返っておられます。
今回は、ご自身のアニメの世界との関わりを、時間を追って明かしてくれました。
マンガファン・アニメファンには、手塚治虫さんとの関わりや、『ナンバー7』での誤解から生じてしまった喧嘩別れの経緯などは、かなり知られています。
本書では改めて事件前からのお二人の関わりから、その後誤解が解けたことまで明かされています。
また『鉄腕アトム』で一番視聴率が良かったという「イルカ文明」の制作時の思い出や、出崎統さん演出の「怪鳥ガルーダの巻」、富野喜幸(現・由悠季)さん演出の「ロボットポリマーの巻」など、豊田さん脚本作品の制作エピソードも興味深いものでした。
TBS漫画ルームの話では、『エイトマン』での、河島治之さんの活躍ぶり。そして、TCJ時代のの村田英憲さん、鷺巣政安さんのお名前も出てきます。
『宇宙戦艦ヤマト』については、既に『「宇宙戦艦ヤマト」の真実』で語られていることもあり、さほどページは割かれてはいませんが、原案者としての発言はやはり重みがあります。
特筆すべきは、豊田さんが興されたパラレル・クリエーションについて記述された章です。ここは 出渕裕さんや岬兄悟さん、米田裕さんだけでなく、数多くの若きクリエイターが集う場所でした。
とり・みきさんや、ゆうきまさみさん、かがみあきらさんなども、訪れていたそうです。
これらの方々が、後に『機動警察パトレイバー』など、数々の作品を生み出されたのです。
出渕さんは、リメイク版の『宇宙戦艦ヤマト』の監督も担当されましたから、豊田さんも感慨深いものがあったでしょう。
黎明期のテレビアニメの世界でSFアニメを創り出そうと奮闘されたのは、豊田さんと平井和正さん、筒井康隆さん、半村良さん、眉村卓さんたち若き時代のSF作家でした。
その創作者のバトンを、パラレル・クリエーションという場を作ったことで、後進につなげられたことも豊田さんの大きなお仕事のひとつだと思います。
マンガ・アニメファンにとって改めて歴史を知ることができる、興味深い一冊でした。

豊田有恒『日本アニメ誕生』(勉誠出版)
豊田さん所有の当時の台本やセル画、企画書など、
貴重な資料の画像が収録されているのも注目です。
SF作家として知られる豊田さんですが、テレビアニメ黎明期にはシナリライターとして『エイトマン』や『鉄腕アトム』に参加しておられました。
本書ではアニメ専業のシナリオライター第一号でもあった豊田さんが、その時代から『宇宙戦艦ヤマト』や、多くのクリエイターを輩出したパラレルクリエーション設立までを回顧してくれています。
これまでも豊田さんは、『日本SFアニメ創世記 虫プロ、そしてTBS漫画ルーム』(TBSブリタニカ)や、『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 -いかに誕生し、進化したか』(祥伝社)などで、アニメ時代のことを振り返っておられます。
今回は、ご自身のアニメの世界との関わりを、時間を追って明かしてくれました。
マンガファン・アニメファンには、手塚治虫さんとの関わりや、『ナンバー7』での誤解から生じてしまった喧嘩別れの経緯などは、かなり知られています。
本書では改めて事件前からのお二人の関わりから、その後誤解が解けたことまで明かされています。
また『鉄腕アトム』で一番視聴率が良かったという「イルカ文明」の制作時の思い出や、出崎統さん演出の「怪鳥ガルーダの巻」、富野喜幸(現・由悠季)さん演出の「ロボットポリマーの巻」など、豊田さん脚本作品の制作エピソードも興味深いものでした。
TBS漫画ルームの話では、『エイトマン』での、河島治之さんの活躍ぶり。そして、TCJ時代のの村田英憲さん、鷺巣政安さんのお名前も出てきます。
『宇宙戦艦ヤマト』については、既に『「宇宙戦艦ヤマト」の真実』で語られていることもあり、さほどページは割かれてはいませんが、原案者としての発言はやはり重みがあります。
特筆すべきは、豊田さんが興されたパラレル・クリエーションについて記述された章です。ここは 出渕裕さんや岬兄悟さん、米田裕さんだけでなく、数多くの若きクリエイターが集う場所でした。
とり・みきさんや、ゆうきまさみさん、かがみあきらさんなども、訪れていたそうです。
これらの方々が、後に『機動警察パトレイバー』など、数々の作品を生み出されたのです。
出渕さんは、リメイク版の『宇宙戦艦ヤマト』の監督も担当されましたから、豊田さんも感慨深いものがあったでしょう。
黎明期のテレビアニメの世界でSFアニメを創り出そうと奮闘されたのは、豊田さんと平井和正さん、筒井康隆さん、半村良さん、眉村卓さんたち若き時代のSF作家でした。
その創作者のバトンを、パラレル・クリエーションという場を作ったことで、後進につなげられたことも豊田さんの大きなお仕事のひとつだと思います。
マンガ・アニメファンにとって改めて歴史を知ることができる、興味深い一冊でした。

豊田有恒『日本アニメ誕生』(勉誠出版)
豊田さん所有の当時の台本やセル画、企画書など、
貴重な資料の画像が収録されているのも注目です。
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