あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その9
- 2020/09/20
- 06:30
■「天馬正人」誕生 (1)
あかしや書房のマンガ版「江戸川乱歩全集」は、人気マンガ家にそれぞれ描き下ろしを依頼するという、当時としては斬新な企画でした。
ラインナップとして、藤田しげるさんによる『鉄塔の怪人』、中沢しげおさんは『大金塊』。中村まさみさんは『怪奇40面相』と『黄金豹』、杵淵やすおさんが描くのは『天空の魔人』、おおのみきおさんは『海底の魔術師』、若林敏郎さんは『サーカスの怪人』を担当するなど、あの「少年探偵団」の物語を人気マンガ家が描きおろすという豪華な企画でした。
まだ若い頃のちばてつやさんも、このシリーズでは『魔法人形』という作品で参加されています。
タイトルを聞いても今でも胸躍る「少年探偵団」の活躍するラインナップですから、当時の子どもたちにもきっと喜ばれたことでしょう。
ミステリーやSFものが好きだった天馬さんも、元々乱歩作品のファンでした。ですから子どもに向けてマンガ化するということで、ページ構成などもかなりノッて描くことができたそうです。
このシリーズでは他のマンガ家は1冊でしたが、翌年刊行された『妖人ゴング』も天馬さんの作です。中村まさみさんとお二人だけ、このシリーズで2作品を描き下ろすことになりました。
余談ですが、この時の『魔法博士』は、2017年に刊行されたアップルBOXクリエートの『昭和漫画大全Ⅱ 第三集 〈江戸川乱歩漫画選①〉』にも収録されています。現在でも充分楽しめる作品ですので、機会がありましたら是非お読みいただきたい一作です。
この時天馬さんは、それまでの大田加英二名義では、時代ものの印象が強すぎるのではと考えました。そこで、サスペンス作品では別のペンネームでイメージチェンジしようと思ったのです。
そしてこの作品から名乗ったのが、「天馬正人」という筆名です。
これは江戸川乱歩さん主宰のミステリー誌『宝石』に投稿した際も、使ったペンネームでした。
天馬正人名義のスリラーものは、当時の作品としてはダイナミックな構図とコマ運びで各出版社でも話題になったようです。(つづく)

天馬正人『少年探偵 妖人ゴング』(原作/江戸川乱歩)
あかしや書房のマンガ版「江戸川乱歩全集」は、人気マンガ家にそれぞれ描き下ろしを依頼するという、当時としては斬新な企画でした。
ラインナップとして、藤田しげるさんによる『鉄塔の怪人』、中沢しげおさんは『大金塊』。中村まさみさんは『怪奇40面相』と『黄金豹』、杵淵やすおさんが描くのは『天空の魔人』、おおのみきおさんは『海底の魔術師』、若林敏郎さんは『サーカスの怪人』を担当するなど、あの「少年探偵団」の物語を人気マンガ家が描きおろすという豪華な企画でした。
まだ若い頃のちばてつやさんも、このシリーズでは『魔法人形』という作品で参加されています。
タイトルを聞いても今でも胸躍る「少年探偵団」の活躍するラインナップですから、当時の子どもたちにもきっと喜ばれたことでしょう。
ミステリーやSFものが好きだった天馬さんも、元々乱歩作品のファンでした。ですから子どもに向けてマンガ化するということで、ページ構成などもかなりノッて描くことができたそうです。
このシリーズでは他のマンガ家は1冊でしたが、翌年刊行された『妖人ゴング』も天馬さんの作です。中村まさみさんとお二人だけ、このシリーズで2作品を描き下ろすことになりました。
余談ですが、この時の『魔法博士』は、2017年に刊行されたアップルBOXクリエートの『昭和漫画大全Ⅱ 第三集 〈江戸川乱歩漫画選①〉』にも収録されています。現在でも充分楽しめる作品ですので、機会がありましたら是非お読みいただきたい一作です。
この時天馬さんは、それまでの大田加英二名義では、時代ものの印象が強すぎるのではと考えました。そこで、サスペンス作品では別のペンネームでイメージチェンジしようと思ったのです。
そしてこの作品から名乗ったのが、「天馬正人」という筆名です。
これは江戸川乱歩さん主宰のミステリー誌『宝石』に投稿した際も、使ったペンネームでした。
天馬正人名義のスリラーものは、当時の作品としてはダイナミックな構図とコマ運びで各出版社でも話題になったようです。(つづく)

天馬正人『少年探偵 妖人ゴング』(原作/江戸川乱歩)
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- テーマ:懐かしいアニメ作品
- ジャンル:アニメ・コミック
- カテゴリ:天馬正人伝
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