マンガのルーツがここにも
- 2020/10/09
- 06:30
先週10月2日金曜日の朝日新聞夕刊の一面に、葛飾北斎の珍しい絵が紹介されていました。
大英博物館所蔵の、絵手本『万物絵本大全図』の挿絵のために描かれた直筆画です。これは1829年、北斎が69歳前後の頃の作品だそうです。
有名な「富嶽三十六景」「北斎漫画」などのような版画ではなく、肉筆画自体が残っているのは珍しいことです。
通常でしたら、原画は版木に貼り付けられ、彫師がその上から彫っていくため、原画が残ることはありません。これらの絵は何らかの理由で、出版が中止されたので残っていたのです。
103枚に描かれているのは、中華(中国)や天竺(インド)、南蛮(ヨーロッパ)、安南(ベトナム)など、異国が題材になっています。
記事には、「酒の醸造」、「流離王雷死」、「芙蓉 猫 花奴 同」、「普明長者 妖狐」の4点が掲載されています。
特に目を引いたのが、「流離王雷死」です。
古代インドで、釈迦族を滅ぼしたという王が、雷に打たれた姿が描かれているのですが、王に落雷が当たる瞬間が、マンガで描かれるような集中線で表現されていたのです。
この絵が描かれたのは、今から191年前です。そして手塚治虫さんが『新宝島』が描かれた1947年からも、118年前のことなのです。
そんな昔から、絵に迫力を出すため集中線を使っていた絵師がいたとは驚きです。同時に、マンガ表現のルーツは北斎にもあったということも分かって、なんだか楽しくなりました。
この北斎の原画は、19世紀後半にフランスに流出し、1948年に個人収集家の手に渡ってから人目に触れなくなっていました。
それが、昨年オークションに出されて約3700万円で大英博物館が購入したそうです。
このような文化財が、海外に流出していることは複雑な気持ちにさせられますが、いずれセル画や原画などもそうなるのかもしれません。
そうは言っても貴重な原画がこうして保存されていたのは、ありがたいことです。
大英博物館では来年、企画展でこれらの絵を公開するそうです。

朝日新聞10月2日(金)夕刊
左上の絵が、「流離王雷死」です。
大英博物館所蔵の、絵手本『万物絵本大全図』の挿絵のために描かれた直筆画です。これは1829年、北斎が69歳前後の頃の作品だそうです。
有名な「富嶽三十六景」「北斎漫画」などのような版画ではなく、肉筆画自体が残っているのは珍しいことです。
通常でしたら、原画は版木に貼り付けられ、彫師がその上から彫っていくため、原画が残ることはありません。これらの絵は何らかの理由で、出版が中止されたので残っていたのです。
103枚に描かれているのは、中華(中国)や天竺(インド)、南蛮(ヨーロッパ)、安南(ベトナム)など、異国が題材になっています。
記事には、「酒の醸造」、「流離王雷死」、「芙蓉 猫 花奴 同」、「普明長者 妖狐」の4点が掲載されています。
特に目を引いたのが、「流離王雷死」です。
古代インドで、釈迦族を滅ぼしたという王が、雷に打たれた姿が描かれているのですが、王に落雷が当たる瞬間が、マンガで描かれるような集中線で表現されていたのです。
この絵が描かれたのは、今から191年前です。そして手塚治虫さんが『新宝島』が描かれた1947年からも、118年前のことなのです。
そんな昔から、絵に迫力を出すため集中線を使っていた絵師がいたとは驚きです。同時に、マンガ表現のルーツは北斎にもあったということも分かって、なんだか楽しくなりました。
この北斎の原画は、19世紀後半にフランスに流出し、1948年に個人収集家の手に渡ってから人目に触れなくなっていました。
それが、昨年オークションに出されて約3700万円で大英博物館が購入したそうです。
このような文化財が、海外に流出していることは複雑な気持ちにさせられますが、いずれセル画や原画などもそうなるのかもしれません。
そうは言っても貴重な原画がこうして保存されていたのは、ありがたいことです。
大英博物館では来年、企画展でこれらの絵を公開するそうです。

朝日新聞10月2日(金)夕刊
左上の絵が、「流離王雷死」です。