『ハクション大魔王２０２０』無事完結

　『ハクション大魔王』の新作『ハクション大魔王２０２０』が、９月２６日に最終回を迎えました。４月１１日よりスタートして、全２０話の放送でした。
　
　今年はコロナウィルス禍で４月７日に緊急事態宣言が出され、１６日には全国に拡大しました。そんな大変な時期の中での制作となりました。
　制作スタッフも、３密を避けるため作画作業や打ち合わせなども満足には出来なかったことでしょう。録音スタジオも狭い空間のため、一時期に使用できず声優さんたちのアフレコも中止されました。
　それでも、なんとか新作シリーズとして最終話まで放送されたのです。

　この時期のほかの作品もそうですが、困難が続く状況のなかで日々新作の制作に尽力してこられたスタッフの皆さんには、頭が下がります。

　初代『ハクション大魔王』は、１９６９年（昭和４４年）１０月５日より、７０年９月２７日まで放映されました。当時は毎回３０分で２話ずつの放映でした。どちらかと言うと、外国製のようなドライな笑いも多いギャグ作品で毎回楽しみにしていました。

　『ハクション大魔王２０２０』の舞台は、前作から５０年後の世界です。魔法界の王位をハクション大魔王から継ぐため、アクビちゃんが人間界に修行に出るのです。しかも今回は、やんちゃな弟のプータもいつしか合流します。そして訪れたのが、カンちゃんの孫であるカンタロウの家でした。

　前作から５０年後の現代ですから、今ドキの少年であるカンタロウには、将来の願いや夢なども特にありません。彼の夢や希望を叶えるためにやってきたアクビは、苦労することになります。

　『ハクション大魔王２０２０』では、キャラクターデザインが変更され、大魔王のタラコくちびるがなくなりました。ただ魔法界での姿として、渋いイケメンの大魔王やキュートな美少女キャラとなったアクビちゃんたちのデザインは印象的でした。
　
　幾分ドライな印象もあった前作とは、テイストが変わっており、多少の違和感はありました。これには最近大ヒットとなった『おそ松さん』や、ねこ娘が美少女になった令和版『ゲゲゲの鬼太郎』などの影響などもあったかもしれません。　

　シリーズ中では、懐かしいカンちゃんが海外から帰国して大魔王と再会するエピソードもあったりと、旧作ファンへの目配りもありました。ただ旧作から見ている者としては、年を取ったカンちゃんはあまり見たくなかったという気持ちもあり正直複雑でした。

　ラストはまた悲しいお別れとなりましたが、カンタロウくんのちょっと前向きになった姿は頼もしくもありました。
　
　この大変な時期、困難を乗り越えて新作を作り続けたスタッフの皆さん、完走お疲れ様でした。