あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その14
- 2020/10/25
- 06:30
■たつみ勝丸の登場 (1)
元々『ジャガーの目』は、戦前『少年倶楽部』で人気だった冒険小説です。この作品がテレビドラマ化されるにあたり、編集部でもマンガ化するため力を入れていました。
当初、『スーパーゼット』の連載を受けたばかりでしたし、ありがたいですけど二本同時は無理ですと、天馬さんはこの話は固辞しました。
しかし、映像作品のマンガ化で、原作のような冒険活劇の世界を描けるのは、あなたしかいない。どうしてもお願いしたいと幾度となく説得されます。
連載を持たせてくれた恩義のある編集部からの依頼ですし、最終的に天馬さんは断ることもできず、受けることになりました。
ただ編集部的にも、同じ雑誌内で連載を二本持つのは、格好がつかないということで、もう一本目となる『ジャガーの目』は、別のペンネームで執筆することになりました。
この名が、「たつみ勝丸」なのです。
これは、後に梶原一騎さんが『少年マガジン』で『巨人の星』を連載中、同時に『あしたのジョー』を始めることになった際、高森朝雄と名乗ったことと同ケースでしょう。
出版社も同じ講談社だったことからも、このあたりの事情はうなずくことができます。
昭和34年7月号から『スーパーゼット』を開始し、『ジャガーの目』は、翌8月号からスタートしました。準備期間を考えても、かなりタイトなスケジュールだったことが分かります。
しかも当時は、現在の週刊誌時代とは違いますが、マンガ家はだいたい一人で描いていた時代です。別冊付録もありますし、他誌での連載や描き下ろし単行本の執筆もありました。
そんな状況は、やはり精神的にも肉体的にもかなりの負荷がかかることになったのです。
この多忙の時期が続いたこともあり、天馬さんはやがて身体を壊してしまうことになります。(つづく)

たつみ勝丸『ジャガーの目』(『少年クラブ』昭和34年8月号付録と昭和35年3月号付録)
元々『ジャガーの目』は、戦前『少年倶楽部』で人気だった冒険小説です。この作品がテレビドラマ化されるにあたり、編集部でもマンガ化するため力を入れていました。
当初、『スーパーゼット』の連載を受けたばかりでしたし、ありがたいですけど二本同時は無理ですと、天馬さんはこの話は固辞しました。
しかし、映像作品のマンガ化で、原作のような冒険活劇の世界を描けるのは、あなたしかいない。どうしてもお願いしたいと幾度となく説得されます。
連載を持たせてくれた恩義のある編集部からの依頼ですし、最終的に天馬さんは断ることもできず、受けることになりました。
ただ編集部的にも、同じ雑誌内で連載を二本持つのは、格好がつかないということで、もう一本目となる『ジャガーの目』は、別のペンネームで執筆することになりました。
この名が、「たつみ勝丸」なのです。
これは、後に梶原一騎さんが『少年マガジン』で『巨人の星』を連載中、同時に『あしたのジョー』を始めることになった際、高森朝雄と名乗ったことと同ケースでしょう。
出版社も同じ講談社だったことからも、このあたりの事情はうなずくことができます。
昭和34年7月号から『スーパーゼット』を開始し、『ジャガーの目』は、翌8月号からスタートしました。準備期間を考えても、かなりタイトなスケジュールだったことが分かります。
しかも当時は、現在の週刊誌時代とは違いますが、マンガ家はだいたい一人で描いていた時代です。別冊付録もありますし、他誌での連載や描き下ろし単行本の執筆もありました。
そんな状況は、やはり精神的にも肉体的にもかなりの負荷がかかることになったのです。
この多忙の時期が続いたこともあり、天馬さんはやがて身体を壊してしまうことになります。(つづく)

たつみ勝丸『ジャガーの目』(『少年クラブ』昭和34年8月号付録と昭和35年3月号付録)
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- テーマ:懐かしいアニメ作品
- ジャンル:アニメ・コミック
- カテゴリ:天馬正人伝
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