『あしたのジョー2』 祝放映40周年
- 2020/10/31
- 06:30
1980年(昭和55年)10月13日、日本テレビ系で『あしたのジョー2』(原作/高森朝雄 画/ちばてつや)が始まりました。
虫プロ版『あしたのジョー』で物語の途中で旅に出たジョーのそれからをラストまで描く、ファンが待ち望んだ続編です。
制作会社こそ東京ムービーに移りましたが、チーフディレクターは出崎統さん、作画監督は杉野昭夫さんと前作を手がけた方々です。
出崎さんと杉野さんは、東京ムービーでは『エースをねらえ!』や『家なき子』、『宝島』など、魅力的な作品を送り出してきました。そして満を持して取り組んだのが、『あしたのジョー2』でした。
そして美術の名手の男鹿和雄さん、撮影監督は高橋宏固さんと、それまで東京ムービー作品でお二人の作品を支えてきた名スタッフが揃います。音楽は、渋いロック調の荒木一郎さんが担当されました。
当初のオープニングこそ、ゲームのデジタル画面のようであまりピンときませんでしたが、荒木一郎さんの曲は新たに始まるジョーの世界にピッタリでした。
『あしたのジョー2』は、虫プロ版から9年を経て、絵も原作に合わせスタイリッシュな劇画調に変化していました。透過光やキャラクターの強烈な陰影、リアルな背景美術、印象的なハーモニー画など、画面もリアルで洗練されていたのです。
まさに、1980年代の放映当時の東京に、ジョーが帰ってきたようでした。
カーロス・リベラや金竜飛、レオン・スマイリー、そしてホセ・メンドーサまで、陰と陽、勝者と敗者、それぞれの人物像もコントラスト深く描かれました。
梶原さんの原作を、ちばてつやさんがさらに深く掘り下げたように、アニメでは出崎さんがそれぞれのキャラクターたちの姿を深く描き出しました。ウルフ金串や村上輝明さんなど、その後のエピソードは特に印象的でした。誰もが華々しい勝者になれるわけではない、そんな中でも、人はいかに自分らしい人生を勝ち取るのか、そんなことも考えさせられました。
そうして見続けていると、いずれジョーが真っ白に燃え尽きるラストを迎えるとは頭では理解出来ても、このまま生き続けて欲しいと思うようになっていきます。
そんな中、途中で変更されたオープニングで描かれた街を彷徨するジョーは、最終回以降の姿ではないかとも漠然と感じていました。
ラストのホセ・メンドーサ戦で挿入される子ども時代のジョーや旅をする姿など、そこには出崎さんたちスタッフののジョーに対する思いも描かれていたのでしょう。
原作はマンガ史に残る名作ですが、『あしたのジョー2』も劇画調テレビアニメ表現のひとつの到達点として、記憶に残る作品です。

『あしたのジョー2』
それぞれが自身のドラマを持っている、魅力的なキャラクターたちでした。
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