あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その16
- 2020/11/08
- 06:30
■芽生えた葛藤 (1)
多数の締め切りを抱え、寝るヒマも惜しみ『スーパーゼット』や『ジャガーの目』、『怪傑黒頭巾』など連載の執筆を続けていた天馬さん。
昭和27年(1952年)のデビューから、7年を経て、念願だった雑誌連載を何本を持つ、人気マンガ家となっていました。
ですが、あまりに多忙の日々が続き、ついに過労で倒れてしまいます。
責任感の強い天馬さんは、なんとか残った原稿をギリギリに描き上げましたが、それからダウンしてしまったのです。
安静のため病床についている天馬さんは、締め切りに追われ忙しかったそれまでのことを、改めて振り返ることが出来ました。
本を読んだりしながらも、いろいろと考えている内に、ある思いが湧いてきました。
「自分は、そもそもなんのために、マンガ家になったのだろうか」
「子どもたちのために、温もりのあるマンガを描きたかったのではないか」
「確かに、今も自分の描いたSFものやヒーローものを、少年読者たちは喜んで読んでくれている。これは本当にありがたいことだ。」
「だけど自分は元々、子どもたちにもっと肩の力を抜いて楽しんでもらえる、そんなマンガを描きたかったのではないだろうか」
「雑誌を買うお金が無く自分では買えない子でも、貸してもらったりまわし読みでも、読んでいる間はイヤなことを忘れてアハハと笑ってもらえる、そんなマンガを描きたかったのではなかったのか……」
自問自答を続けるうち、そのような思いが、徐々に強くなっていきました。(つづく)

『スーパーゼット』(講談社『少年クラブ』昭和34年8月号付録)
『スーパーゼット』の頃は、「てんままさと」ではなく、
「てんましょうじん」とルビが打たれています。
『少年マガジン』連載の『パトロールQ』では、「てんままさと」と
フリガナが入っていました。
多数の締め切りを抱え、寝るヒマも惜しみ『スーパーゼット』や『ジャガーの目』、『怪傑黒頭巾』など連載の執筆を続けていた天馬さん。
昭和27年(1952年)のデビューから、7年を経て、念願だった雑誌連載を何本を持つ、人気マンガ家となっていました。
ですが、あまりに多忙の日々が続き、ついに過労で倒れてしまいます。
責任感の強い天馬さんは、なんとか残った原稿をギリギリに描き上げましたが、それからダウンしてしまったのです。
安静のため病床についている天馬さんは、締め切りに追われ忙しかったそれまでのことを、改めて振り返ることが出来ました。
本を読んだりしながらも、いろいろと考えている内に、ある思いが湧いてきました。
「自分は、そもそもなんのために、マンガ家になったのだろうか」
「子どもたちのために、温もりのあるマンガを描きたかったのではないか」
「確かに、今も自分の描いたSFものやヒーローものを、少年読者たちは喜んで読んでくれている。これは本当にありがたいことだ。」
「だけど自分は元々、子どもたちにもっと肩の力を抜いて楽しんでもらえる、そんなマンガを描きたかったのではないだろうか」
「雑誌を買うお金が無く自分では買えない子でも、貸してもらったりまわし読みでも、読んでいる間はイヤなことを忘れてアハハと笑ってもらえる、そんなマンガを描きたかったのではなかったのか……」
自問自答を続けるうち、そのような思いが、徐々に強くなっていきました。(つづく)

『スーパーゼット』(講談社『少年クラブ』昭和34年8月号付録)
『スーパーゼット』の頃は、「てんままさと」ではなく、
「てんましょうじん」とルビが打たれています。
『少年マガジン』連載の『パトロールQ』では、「てんままさと」と
フリガナが入っていました。
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- テーマ:懐かしいアニメ作品
- ジャンル:アニメ・コミック
- カテゴリ:天馬正人伝
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