あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その17
- 2020/11/15
- 06:30
■心中に芽生える葛藤 (2)
過労で倒れてしまった天馬さん。その時、執筆の日々から逃れてようやく落ち着いていろいろと考えを巡らせました。
『スーパーゼット』や『ジャガーの目』、『怪傑黒頭巾』など自分が描くマンガを、読者たちは楽しみにしてくれています。
ただその中には、雑誌を買う余裕もなく、日々親の手伝いや家業の手伝いを小さい頃から頑張っている子どもたちもいるはずです。
彼らは友だちから借りたりして、かつての自分のようにきっと読んでくれているでしょう。家庭の事情から働かなければならない、そんな子どもたちの姿もこれまでたくさん見ていました。
「自分が描かなければならないのは、苦しい環境に置かれている子どもたちにも、せめて読んでる間だけでも日々の悩みや苦しみを忘れて心から笑ってもらえる、そんなマンガではないだろうか」
「それこそが、自分がマンガ家になった理由ではなかったのではないか」
マンガ家として人気連載を抱えながらも、自問自答する日が続きました。
1960年(昭和35年)、『スーパーゼット』は8月発売の『少年クラブ』9月号で最終回を迎えることになりました。その頃、天馬さんは次作として、これまでに描いたことのない作品の構想を練っていました。
くず屋さんの親子コンビが主役の『かみくずおやこ』です。物語は、大人だけど善良でちょっととぼけた熊さんと素直で天真爛漫な子どものごろ(五郎)ちゃんのコンビが巻き起こす、ささやかでクスッと笑える微笑ましいマンガでした。
この『かみくずおやこ』の連載を、たつみ勝丸名義で新たに『少年クラブ』10月号から始めたのです。(つづく)

『かみくずおやこ』扉絵
過労で倒れてしまった天馬さん。その時、執筆の日々から逃れてようやく落ち着いていろいろと考えを巡らせました。
『スーパーゼット』や『ジャガーの目』、『怪傑黒頭巾』など自分が描くマンガを、読者たちは楽しみにしてくれています。
ただその中には、雑誌を買う余裕もなく、日々親の手伝いや家業の手伝いを小さい頃から頑張っている子どもたちもいるはずです。
彼らは友だちから借りたりして、かつての自分のようにきっと読んでくれているでしょう。家庭の事情から働かなければならない、そんな子どもたちの姿もこれまでたくさん見ていました。
「自分が描かなければならないのは、苦しい環境に置かれている子どもたちにも、せめて読んでる間だけでも日々の悩みや苦しみを忘れて心から笑ってもらえる、そんなマンガではないだろうか」
「それこそが、自分がマンガ家になった理由ではなかったのではないか」
マンガ家として人気連載を抱えながらも、自問自答する日が続きました。
1960年(昭和35年)、『スーパーゼット』は8月発売の『少年クラブ』9月号で最終回を迎えることになりました。その頃、天馬さんは次作として、これまでに描いたことのない作品の構想を練っていました。
くず屋さんの親子コンビが主役の『かみくずおやこ』です。物語は、大人だけど善良でちょっととぼけた熊さんと素直で天真爛漫な子どものごろ(五郎)ちゃんのコンビが巻き起こす、ささやかでクスッと笑える微笑ましいマンガでした。
この『かみくずおやこ』の連載を、たつみ勝丸名義で新たに『少年クラブ』10月号から始めたのです。(つづく)

『かみくずおやこ』扉絵
- 関連記事
-
- あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その19
- あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その18
- あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その17
- あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その16
- あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その15
- テーマ:懐かしいアニメ作品
- ジャンル:アニメ・コミック
- カテゴリ:天馬正人伝
- CM:0
- TB:0