『家なき子 COMPLETE DVD BOOK』刊行開始

　9月まで『チエちゃん奮戦記　じゃりん子チエ』COMPLETE DVD BOOKを刊行してきたぴあから、新たなシリーズが始まりました。
　出崎統さんと杉野昭夫さんコンビによる70年代の名作テレビアニメ『家なき子』（原作/エクトール・マロー）です。待望のvol.1が、１０月末に発売されました。

　「COMPLETE DVD BOOK」では、『あしたのジョー』『あしたのジョー２』（原作/高森朝雄　漫画/ちばてつや）、『エースをねらえ！』（原作/山本鈴美香）、『スペースコブラ』（原作/寺沢武一）、そして『宝島』（原作/ロバート・ルイス・スティーブンソン）まで、出崎さん杉野さんコンビによるテレビアニメを刊行してきました。
　『あしたのジョー』第１シリーズ以外の東京ムービー作品では、出崎さんの『ガンバの冒険』も発売されています。ですが、なぜだか『宝島』は出たのに、『家なき子』は未刊行でした。
　
　理由はわかりませんが、もしかしたら前記の作品より世間的には知られていないと考えられたのかもしれません。
　確かに、『宝島』のジョン・シルバーのように、強烈な光を放つ存在はいなかったかもしれません。ただ、過酷な試練に耐えながら前向きに生きようと努力するレミと、厳しく接しながらも成長を見守るビタリス、そしてカピやドルチェたち動物の仲間など、レミを取り巻く群像劇は印象的でした。
　放映当時「立体アニメーション」と謳われどんなものだろうと、興味津々に見た頃を思い出します。オープニングの、レミたちが歩き背景が移動する様は、小さいテレビ画面の中に大きな劇場版のスクリーンが映されたようなスケールを感じさせられました。
　小さい存在であるレミを取り巻く物語の世界の大きさも、その画面から感じさせられたのです。

　全５巻で５１話を収録予定の『家なき子　COMPLETE DVD BOOK』。今回のvol.１には、第１話「シャバノン村のレミ少年」から、第１１話「ビタリスの裁判」までが収録されています。
　
　ブックレットには、以前DVDBOX用に描かれた杉野さんの、ジャケットイラストが掲載されています。『家なき子』の製作中の杉野さんの画は、繊細さ、大胆さ、そして優しさと暖かみがあり、ファンを魅了していました。
　後続の巻では、この当時の杉野さんによる修正原画も掲載されるようです。
　　
　出崎さんと杉野さんたちが描き出す、ドラマチックで観る者の心揺さぶられる名作シリーズを、久しぶりに堪能したいと思います。
　

『家なき子 COMPLETE DVD BOOK』vol.１（ぴあ刊）



『家なき子』動画