水島新司さん、引退宣言
- 2020/12/05
- 07:49
『ドカベン』、『野球狂の詩』、『あぶさん』などで知られるマンガ家の水島新司さんが引退を発表されました。
『ドカベン』の山田太郎たちが活躍する物語は、以降も『大甲子園』、『ドカベン プロ野球編』、『ドカベン スーパースター編』と続けられてきました。、2012年からの『ドカベン ドリームトーナメント編』は、それまでの水島作品のキャラクターたちが登場する豪華な作品で、2018年6月に完結しています。
また『あぶさん』は1973年に『ビッグコミックオリジナル』で連載がスタートし、2014年まで長期連載されていました。
長年読者に支持されてきた人気シリーズが終了しており、どうしておられるのか気になっていました。
水島新司さんといえば、1970年代の活躍が忘れられません。
『少年チャンピオン』では『ドカベン』。『少年マガジン』には『野球狂の詩』。『少年サンデー』は、『一球さん』。『ビッグコミックオリジナル』では、『あぶさん』と、並行して各誌に連載を持つ人気マンガ家でした。
しかもどの作品も野球をベースにしつつ、『ドカベン』では手に汗握る試合を軸に友情を、『あぶさん』では、職人的選手を取り巻く人情噺を。『野球狂の詩』は、プロ野球選手たちの人間ドラマ、『一球さん』では、天衣無縫の主人公の織りなす物語と、それぞれ違う世界を描き分けておられたのです。
当時、どれも続きが気になって、雑誌やコミックスを友人たちとまわし読みしていました。
水島さんは貸本マンガの老舗、日の丸文庫からのデビューです。1958年(昭和33年)劇画誌『影』の新人コンクールで入選し、ユーモア、ペーソスものを多数描いていらっしゃいました。
上京後は『少年キング』(少年画報社)をベースに、『エースの条件』(原作/花登筐)『ヘイ!ジャンボ』や『輪球王トラ』(原作/牛次郎)、『アルプスくん』などを執筆。
『週刊少年サンデー』連載の『男どアホウ甲子園』(原作/佐々木守)がヒット作となりました。
そして、その後「野球」を自作のベースにと、お考えになられたのでしょう。野球を舞台にして数多くの人間ドラマを描いてこられたのです。
『ドカベン』や『野球狂の詩』、『一球さん』は、テレビアニメ化もされており、こちらも人気でした。あの当時、野球人気に大きく貢献していたのが、水島さんの野球マンガでした。
静かにフェードアウトするのではなく、選手のように現役引退を発表されるのも、野球マンガを長年描き続けてこられた水島さんらしいとも思えます。
62年もの間記憶に残る数多くの作品で、読者を楽しませ続けてこられた水島新司さんに改めて感謝いたします。長年の執筆活動お疲れ様でした。
12月2日 水島新司さんの引退を伝える各スポーツ紙