あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その20
- 2020/12/06
- 06:30
■「かみくずおやこ」 (3)
爆発的な人気ではありませんでしたが、天馬正人さんがたつみ勝丸名義で連載していた『かみくずおやこ』は、徐々に読者に浸透していきました。
ポツポツとではありましたがファンレターも届き始め、天馬さんもこの優しくユーモア溢れる作品の執筆に前向きに向かっていました。
ただ時代の流れは、時として非情になります。
テレビ化された『ジャガーの目』の相乗効果でマンガも人気となりましたが、結果的にそのテレビの出現が遠因となり少年月刊誌を追い詰めました。
テレビでの毎週番組が流れることに慣れた少年読者たちは、月刊誌のスローペースに飽き週刊誌を志向し出します。それまで毎月発行の月刊誌の連載でもマンガを楽しんでいた読者は、テレビや週刊誌により、週刊ペースに慣れてしまったのです。
無論、天馬さんも執筆していたSF冒険もの『パトロールQ』は『週刊少年マガジン』に連載され、依然として人気でした。
ですが自身のライフワークと定め、この作品はずっと描き続けようと思っていたのは『かみくず親子』です。その掲載誌である老舗の月刊誌『少年クラブ』が、ついに休刊を迎えることになったのです。
昭和37年11月発行の『少年クラブ』12月号が、最終回となりました。
戦前から続いてきたこの老舗雑誌は49年の歴史を閉じました。
天馬さんがライフワークにしようと考えていた『かみくずおやこ』も、掲載誌の休刊と同時に終了を迎えることになりました。(つづく)
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