2021年新春
- 2021/01/03
- 06:30
新春のお慶びを申し上げます
2021年(令和3年)が明けました。
昨年から全世界を襲ったコロナウイルス禍の中、外出も自粛しなければいけない年末年始でした。
このような厳しい状況の中ですが、新しい年を迎えましたので、元気の出る画稿をご紹介します。
上梨一也さんが描かれた『鉄腕アトム』です。
上梨さんは、手塚治虫さんの虫プロご出身です。
元々、学生時代よりディズニー映画を見続け、『映画評論』での森卓也さんの連載も愛読されていました。高校時代にはご自身で8mmの自主作品を作られるくらいのアニメーション狂です。大学時代、たまたま講義で席を隣り合わせた石黒昇さんに、自主アニメ制作を決意させたくらいの方です。
そして、お好きだった手塚治虫さんがアニメ会社を興されると知ると、いてもたってもおられず中途試験を受けられます。その時は、制作進行しか募集していなかったのですが、なんとしても手塚さんの下でアニメーションの仕事をしたかった上梨さんは、その情熱を買われ入社を果たします。
本来はアニメーターとして参加したかったのですが、制作進行として『鉄腕アトム』の現場で奮闘されました。その後『ジャングル大帝』では、晴れてアニメーターとして参加されます。
そこで、知り合われた荒木伸吾さん、金山明博さんと生涯お付き合いされました。
義理堅い上梨さんは虫プロが経営危機がささやかれていた時も残り、倒産する最後まで在籍し続けました。以降、親友の荒木さんから依頼された『魔女っ子メグちゃん』や、『UFOロボ グレンダイザー』などの動画を受けていました。
その丁寧な仕事ぶりは定評があり、日本サンライズでは『超電磁マシーン ボルテスV』や『闘将ダイモス』、『未来ロボ ダルタニアス』の動画チェックとして、クオリティを保つ努力をされました。
また、スタジオぴえろでは『まいっちんぐマチコ先生』で、初めて作画監督を受けられます。
ご自身に厳しかった上梨さんは早めにアニメーターをリタイアされ、一般企業に転職されました。それでも、アニメーションや映画に対する情熱は生涯持ち続けていらっしゃいました。
私もアニメファンの後輩として、かなりのお付き合いをいただけました。
以前「こんなの描いたからもらってくれますか」とお送りいただいた1枚が、このアトムです。
こんな不安で厳しい時代ですが、なんとかアトムのような優しい心と勇気を持って、希望を失わずがんばっていきましょう。
上梨一也画 『鉄腕アトム』