レジェンドたちの貴重な証言集『アニメ大国の神様たち』
- 2021/03/28
- 06:30
1月に出版された『アニメ大国の神様たち』を読みました。これは、2005年11月から2008年3月まで中日新聞に連載された、「アニメ大国の肖像」の単行本化されたものです。
当時中日新聞社の記者だった三沢さんが、誰がアニメをつくったのか、という疑問から始められたそうです。連載は120回で、40名近くの方が登場されました。
実は、インタビューを収録されたレジェンドの方からも、「ついに“神様”にされてしまった」と苦笑交じりに本書の刊行を事前に教えていただいていました。
取材時にはご存命でもその後ご逝去された方も多く、貴重な証言を読むことができます。
富野由悠季さんの項での、安彦良和さん、大河原邦男さんと個人的に仲良くならない。「三人の能力があって、合意点に達すれば、その仕事はパーフェクトに完結する」(中略)「シンパ同士の集団が有効に働くこともあるけど、20年は続かない」という言葉は、合点がいきました。
そんな思いだったからこそ、『機動戦士ガンダム』以降、湖川友謙さんや永野護さん、いのまたむつみさんなど、積極的に様々なクリエイターと組んできたのでしょう。
ほかにも辻真先さん、豊田有恒さん、鈴木良武さん、白川大作さん、岡崎稔さん、黒田昌郎さん、鷺巣政安さん、大塚康生さん、芝山努さん、おおすみ正秋さん、杉井ギサブローさん、高橋良輔さん、九里一平さん、笹川ひろしさんなど、36人のそうそうたる方々が収録されています。
ちょっと疑問だったのは、おおすみ正秋さんのインタビューで、『旧ルパン三世』の降板でアニメ業界と縁を切ったと記述されていたところです。確か翌年の1972年に日本テレビ動画で制作された『ミュンヘンへの道』でも当初、総監督を務められていたと思います。
また、富野さんの項では、『勇者ライディーン』を降板させられた際、次の話を持ちかけたのが制作協力をしていた創映社だった、と記述されています。
ただ、実際作業していたのは日本サンライズの前身となった創映社と、そのスタジオのサンライズスタジオでした。制作協力という記述だと、一般には多少分かりづらいかもしれません。
富野さんは『無敵超人ザンボット3』の総監督の前には、おおすみ正秋さんが降板された後の『ラ・セーヌの星』の監督も引き継いでいました。
『ライディーン』後、次に『ザンボット3』の話が来た様にも読めるところは戸惑いました。
このあたり、もっとアニメ事情に詳しい方にチェックしてもらえれば、より正確な記述にすることができたかもしれません。
とはいっても、アニメをつくってきたレジェンドたちのインタビューが、これだけまとめらているのはありがたいところです。新聞連載らしく、それぞれのコメントは短めではありますが、テレビアニメの成り立ちに興味をお持ちの方でしたら、読んでおきたい一冊です。
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三沢典丈著『アニメ大国の神様たち』(イーストプレス刊)
当時中日新聞社の記者だった三沢さんが、誰がアニメをつくったのか、という疑問から始められたそうです。連載は120回で、40名近くの方が登場されました。
実は、インタビューを収録されたレジェンドの方からも、「ついに“神様”にされてしまった」と苦笑交じりに本書の刊行を事前に教えていただいていました。
取材時にはご存命でもその後ご逝去された方も多く、貴重な証言を読むことができます。
富野由悠季さんの項での、安彦良和さん、大河原邦男さんと個人的に仲良くならない。「三人の能力があって、合意点に達すれば、その仕事はパーフェクトに完結する」(中略)「シンパ同士の集団が有効に働くこともあるけど、20年は続かない」という言葉は、合点がいきました。
そんな思いだったからこそ、『機動戦士ガンダム』以降、湖川友謙さんや永野護さん、いのまたむつみさんなど、積極的に様々なクリエイターと組んできたのでしょう。
ほかにも辻真先さん、豊田有恒さん、鈴木良武さん、白川大作さん、岡崎稔さん、黒田昌郎さん、鷺巣政安さん、大塚康生さん、芝山努さん、おおすみ正秋さん、杉井ギサブローさん、高橋良輔さん、九里一平さん、笹川ひろしさんなど、36人のそうそうたる方々が収録されています。
ちょっと疑問だったのは、おおすみ正秋さんのインタビューで、『旧ルパン三世』の降板でアニメ業界と縁を切ったと記述されていたところです。確か翌年の1972年に日本テレビ動画で制作された『ミュンヘンへの道』でも当初、総監督を務められていたと思います。
また、富野さんの項では、『勇者ライディーン』を降板させられた際、次の話を持ちかけたのが制作協力をしていた創映社だった、と記述されています。
ただ、実際作業していたのは日本サンライズの前身となった創映社と、そのスタジオのサンライズスタジオでした。制作協力という記述だと、一般には多少分かりづらいかもしれません。
富野さんは『無敵超人ザンボット3』の総監督の前には、おおすみ正秋さんが降板された後の『ラ・セーヌの星』の監督も引き継いでいました。
『ライディーン』後、次に『ザンボット3』の話が来た様にも読めるところは戸惑いました。
このあたり、もっとアニメ事情に詳しい方にチェックしてもらえれば、より正確な記述にすることができたかもしれません。
とはいっても、アニメをつくってきたレジェンドたちのインタビューが、これだけまとめらているのはありがたいところです。新聞連載らしく、それぞれのコメントは短めではありますが、テレビアニメの成り立ちに興味をお持ちの方でしたら、読んでおきたい一冊です。
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三沢典丈著『アニメ大国の神様たち』(イーストプレス刊)
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