西岸良平さんの『三丁目の夕日』68巻発売
- 2021/05/01
- 06:30
『ビッグコミックオリジナル』(小学館)連載中の西岸良平さんによる『三丁目の夕日 夕焼けの詩』68巻が、3月末発売されました。
1974年9月から46年間続く連載で、これまでもテレビアニメ化や映画化もされた人気作です。連載当初から、昭和30年代頃のどこか懐かしい情景とそこに生きる人々のささやかな生活を描き、多くの読者を魅了してきました。
長年の読者にはおなじみの茶川先生と淳之介くん、そして某博士、日真田探偵など、いつものメンバーも健在です。
今回収録されている新作は、いつもより少々暗いトーンに感じられました。それは、通常だとたまに語られる死についてのエピソードが、幾分多めだったからかもしれません。
もちろん、人は生まれたら死を迎えます。それぞれがその生を精一杯生きることで、悲喜こもごも様々な人生を過ごすのでしょう。『三丁目の夕日』は、そんなささやかな人生のひとときを切り取って、毎回見せてくれるのです。
68巻は、幕開けの「タイムカプセル」から死がからむエピソードです。そして、失った愛犬、若くして亡くした子、また母親を亡くした小さい少年、探偵への依頼者として出てくる幽霊などの話が、収録されていました。
一番衝撃的だったのは、「別れの雪」です。描かれたのは、淳之介くんの行方知らずだった母の死です。美貌で数々の浮名を流した母親は、いつか迎えに来ると言って姿を消していました。淳之介も、もう自分のことは忘れられている、と諦めていました。そんな時、重病で入院していると連絡が届きます。ようやく病床で会えた時、もうかつての輝きはありませんでした。
次の話の「記念写真」では、茶川先生がヒロミに淳之介くんを養子にしようと明かします。
これまで、『三丁目の夕日』の世界を楽しませてもらってきましたが、なんとなく作品の中の時間は止まっているようにも感じていました。
淳之介くんのお母さんも、どこかで元気にしていると思っていたのです。それが、いきなり、故郷でひっそりと病気療養しており、作品中で亡くなってしまったことには、驚かされました。
このまま、『三丁目の夕日』の世界は変わらないと勝手に思い込んでいましたが、いつしか時は過ぎているようです。
西岸さんが、意識して作品を閉じようとされているのか、とも心配になりました。これまで素敵な世界を描き続けてこられた西岸さんが、お元気でお過ごしいただけることが一番です。
そしてできれば、今後も心に響く新作を読ませていただければ、と願っています。

『三丁目の夕日 夕焼けの詩』68巻「黒猫誘拐事件」
1974年9月から46年間続く連載で、これまでもテレビアニメ化や映画化もされた人気作です。連載当初から、昭和30年代頃のどこか懐かしい情景とそこに生きる人々のささやかな生活を描き、多くの読者を魅了してきました。
長年の読者にはおなじみの茶川先生と淳之介くん、そして某博士、日真田探偵など、いつものメンバーも健在です。
今回収録されている新作は、いつもより少々暗いトーンに感じられました。それは、通常だとたまに語られる死についてのエピソードが、幾分多めだったからかもしれません。
もちろん、人は生まれたら死を迎えます。それぞれがその生を精一杯生きることで、悲喜こもごも様々な人生を過ごすのでしょう。『三丁目の夕日』は、そんなささやかな人生のひとときを切り取って、毎回見せてくれるのです。
68巻は、幕開けの「タイムカプセル」から死がからむエピソードです。そして、失った愛犬、若くして亡くした子、また母親を亡くした小さい少年、探偵への依頼者として出てくる幽霊などの話が、収録されていました。
一番衝撃的だったのは、「別れの雪」です。描かれたのは、淳之介くんの行方知らずだった母の死です。美貌で数々の浮名を流した母親は、いつか迎えに来ると言って姿を消していました。淳之介も、もう自分のことは忘れられている、と諦めていました。そんな時、重病で入院していると連絡が届きます。ようやく病床で会えた時、もうかつての輝きはありませんでした。
次の話の「記念写真」では、茶川先生がヒロミに淳之介くんを養子にしようと明かします。
これまで、『三丁目の夕日』の世界を楽しませてもらってきましたが、なんとなく作品の中の時間は止まっているようにも感じていました。
淳之介くんのお母さんも、どこかで元気にしていると思っていたのです。それが、いきなり、故郷でひっそりと病気療養しており、作品中で亡くなってしまったことには、驚かされました。
このまま、『三丁目の夕日』の世界は変わらないと勝手に思い込んでいましたが、いつしか時は過ぎているようです。
西岸さんが、意識して作品を閉じようとされているのか、とも心配になりました。これまで素敵な世界を描き続けてこられた西岸さんが、お元気でお過ごしいただけることが一番です。
そしてできれば、今後も心に響く新作を読ませていただければ、と願っています。

『三丁目の夕日 夕焼けの詩』68巻「黒猫誘拐事件」
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