コノシートさんの『幻のアニメ』シリーズ最新刊
- 2021/05/15
- 06:30
『冒険少年シャダー』や『マル秘劇画 浮世絵千夜一夜』、幻の藤子アニメ『フータくん』など、精力的な研究で知られるコノシート(さんぽプロ)さんの新刊が出ました。
昨年4月の「アメイジング商店街Vol.0」にて、暫定サンプル版が発表された『幻のアニメ『電人アロー』『冒険ダン吉』『サブマリン707』徹底研究』です。
暫定サンプル版のコピー誌は、『電人アロー』編のみでしたが、今回は全214ページもある完全版です。そして前回話題を呼んだ『マル秘劇画 浮世絵千夜一夜』の追加取材記事も収録されています。
第一章は、一峰大二さんのSFヒーロー作品『電人アロー』です。これは『少年』の連載時、田辺製薬の誌上タイアップでしたが、アニメ化も企画されていました。2014年にアニマックスで『TMS(トムス)アニメ 50年のDNA』と題した特番が放映され、1965年に制作のパイロットフィルムも紹介されたそうです。この内容は、本書で始めて知ることができました。
続く第2章は、『冒険ダン吉』編です。コノシートさんは、この作品の16ミリフィルムを入手し、当時の文献などを探して研究を進められます。まさか、原作者の島田啓三さんがアニメプロダクションを経営しておられ、その会社、動画プロダクションでアニメ化まで進んでいたとは知りませんでした。原作とは違うデザインでしたが、このキャラクターも味があり、一度見てみたくなる作品でした。
第3章は、小沢さとるさんの『サブマリン707』編です。日本テレビ系で進められていたこの作品が、どうして頓挫してしまったのか、また意外な形で『戦え!オスパー』の企画に繋がったのか、その謎を解き明かしてくれます。
資料蒐集の中で、ヤフオクに出たという日本テレビの資料には、本作のスチールと共にタツノコプロの第一作『宇宙エース』のスチール写真も混ざっていたそうです。
『宇宙エース』は実際にはフジテレビ系の放送でしたが、どうやらその前に日本テレビで企画されていた可能性もあるようです。もしかしたら当初、タツノコプロと決裂する前に、東映動画は日本テレビにも『宇宙エース』を進めていたのでしょうか。
そして、第4章は、あの『マル秘劇画 浮世絵千夜一夜』研究の続報です。なんとレオ西村さんのご子息である、スタジオエルの西村龍徳社長インタビューや、レオ西村さん原作の劇画の紹介、あの村野守美さん作画の『浮世絵千夜一夜』の再録など、盛りだくさんでした。
個人的に衝撃だったのは、アニメ化されなかったと聞いていたトランスグローバルの『ジャングル太郎』が、制作されてアメリカで放送されていたという事です。また、トランスグローバルの寮の建物が現存しているということにも、驚かされました。
コノシートさんの探求する姿勢は、次々に新しい謎を発見しそれを地道に解明していかれます。毎回厚みを増す新刊ですが、今後の探求も楽しみにしています。

さんぽプロ『幻のアニメ『電人アロー』『冒険ダン吉』『サブマリン707』徹底研究』
OVA『学園浮世絵物語』シリーズが、代々木アニメーションの
大矢敏行さん制作だったとは知りませんでした。
個人的には『学園源氏物語』が、湖川友謙さんに影響を受けたような作画で気になっていました。
昨年4月の「アメイジング商店街Vol.0」にて、暫定サンプル版が発表された『幻のアニメ『電人アロー』『冒険ダン吉』『サブマリン707』徹底研究』です。
暫定サンプル版のコピー誌は、『電人アロー』編のみでしたが、今回は全214ページもある完全版です。そして前回話題を呼んだ『マル秘劇画 浮世絵千夜一夜』の追加取材記事も収録されています。
第一章は、一峰大二さんのSFヒーロー作品『電人アロー』です。これは『少年』の連載時、田辺製薬の誌上タイアップでしたが、アニメ化も企画されていました。2014年にアニマックスで『TMS(トムス)アニメ 50年のDNA』と題した特番が放映され、1965年に制作のパイロットフィルムも紹介されたそうです。この内容は、本書で始めて知ることができました。
続く第2章は、『冒険ダン吉』編です。コノシートさんは、この作品の16ミリフィルムを入手し、当時の文献などを探して研究を進められます。まさか、原作者の島田啓三さんがアニメプロダクションを経営しておられ、その会社、動画プロダクションでアニメ化まで進んでいたとは知りませんでした。原作とは違うデザインでしたが、このキャラクターも味があり、一度見てみたくなる作品でした。
第3章は、小沢さとるさんの『サブマリン707』編です。日本テレビ系で進められていたこの作品が、どうして頓挫してしまったのか、また意外な形で『戦え!オスパー』の企画に繋がったのか、その謎を解き明かしてくれます。
資料蒐集の中で、ヤフオクに出たという日本テレビの資料には、本作のスチールと共にタツノコプロの第一作『宇宙エース』のスチール写真も混ざっていたそうです。
『宇宙エース』は実際にはフジテレビ系の放送でしたが、どうやらその前に日本テレビで企画されていた可能性もあるようです。もしかしたら当初、タツノコプロと決裂する前に、東映動画は日本テレビにも『宇宙エース』を進めていたのでしょうか。
そして、第4章は、あの『マル秘劇画 浮世絵千夜一夜』研究の続報です。なんとレオ西村さんのご子息である、スタジオエルの西村龍徳社長インタビューや、レオ西村さん原作の劇画の紹介、あの村野守美さん作画の『浮世絵千夜一夜』の再録など、盛りだくさんでした。
個人的に衝撃だったのは、アニメ化されなかったと聞いていたトランスグローバルの『ジャングル太郎』が、制作されてアメリカで放送されていたという事です。また、トランスグローバルの寮の建物が現存しているということにも、驚かされました。
コノシートさんの探求する姿勢は、次々に新しい謎を発見しそれを地道に解明していかれます。毎回厚みを増す新刊ですが、今後の探求も楽しみにしています。

さんぽプロ『幻のアニメ『電人アロー』『冒険ダン吉』『サブマリン707』徹底研究』
OVA『学園浮世絵物語』シリーズが、代々木アニメーションの
大矢敏行さん制作だったとは知りませんでした。
個人的には『学園源氏物語』が、湖川友謙さんに影響を受けたような作画で気になっていました。
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