モノクロアニメのカラー化大作戦 その9
- 2021/08/08
- 06:30
1990年代後半に制作された、『宇宙エース』第41話「タイムマシン作戦」のカラーリメイク版。
この実制作を担当したのは、タマプロダクションでした。
タマプロといえば、元漫画家・星城朗二こと田中英二さんが創設した老舗プロダクションです。
タツノコ作品にも、初期より『マッハGOGOGO』や『紅三四郎』、『新造人間キャシャーン』、『破裏拳ポリマー』、『宇宙の騎士テッカマン』、そして『タイムボカン』シリーズなどに参加し、作画ローテーションを支えていました。
吉田竜夫さんの信頼も厚く、『紅三四郎』ではヒロインの作画も任されていました。少女マンガ家出身である田中英二さんの描くゲストヒロインは、リアルながらも繊細で印象的なキャラクターでファンを魅了していました。
そして実弟である西條隆詞さんや水村十司さんなども在籍していた、腕利き揃いのプロダクションでした。
『宇宙エース』のカラーリメイクが制作された頃は、タツノコプロの社内には常駐の作画スタッフが揃っていない時期です。そのため、旧知の付き合いだった、このタマプロダクションに発注されたのでしょう。
タマプロは、元々は作画プロダクションでしたが、徐々に仕上げや撮影など規模を拡張していき、グロス受けもできるようになっていました。特筆すべきは、90年代に中国の動画制作会社といち早く契約し、現地スタッフを養成しながら制作を進めていたことです。
この『宇宙エース』のカラーリメイクも、タマプロから中国に作画が発注されていました。詳細なスタッフの記録は残っていませんが、原動画だけでなくどうやら作画監督の役割も現地スタッフが担っていたようです。
単にフィルムのプリントアウトからトレスするだけでなく、キャラクターの目の大きさなどのスタイルも整えなければなりません。向こうにも優秀なスタッフが育っていたのでしょう。
思い起こせば1970年代、『ベティ・ブープ』のカラーリメイクがアメリカから韓国に発注されたように、『宇宙エース』は中国でリメイクされていたのです。
カラーリメイクの現場作業は、アジアと縁が深かったのかもしれません。(つづく)

『宇宙エース』カラーリメイク版作監修正
アサリちゃんと原始時代の娘が出会うシーンです。
カットにより、プリントアップには作監から修正用紙が入れられていました。
作画指示のコメントは、日本語を中国語に翻訳したわけではなく、
最初から動画スタッフ向けに中国語で書かれています。
この実制作を担当したのは、タマプロダクションでした。
タマプロといえば、元漫画家・星城朗二こと田中英二さんが創設した老舗プロダクションです。
タツノコ作品にも、初期より『マッハGOGOGO』や『紅三四郎』、『新造人間キャシャーン』、『破裏拳ポリマー』、『宇宙の騎士テッカマン』、そして『タイムボカン』シリーズなどに参加し、作画ローテーションを支えていました。
吉田竜夫さんの信頼も厚く、『紅三四郎』ではヒロインの作画も任されていました。少女マンガ家出身である田中英二さんの描くゲストヒロインは、リアルながらも繊細で印象的なキャラクターでファンを魅了していました。
そして実弟である西條隆詞さんや水村十司さんなども在籍していた、腕利き揃いのプロダクションでした。
『宇宙エース』のカラーリメイクが制作された頃は、タツノコプロの社内には常駐の作画スタッフが揃っていない時期です。そのため、旧知の付き合いだった、このタマプロダクションに発注されたのでしょう。
タマプロは、元々は作画プロダクションでしたが、徐々に仕上げや撮影など規模を拡張していき、グロス受けもできるようになっていました。特筆すべきは、90年代に中国の動画制作会社といち早く契約し、現地スタッフを養成しながら制作を進めていたことです。
この『宇宙エース』のカラーリメイクも、タマプロから中国に作画が発注されていました。詳細なスタッフの記録は残っていませんが、原動画だけでなくどうやら作画監督の役割も現地スタッフが担っていたようです。
単にフィルムのプリントアウトからトレスするだけでなく、キャラクターの目の大きさなどのスタイルも整えなければなりません。向こうにも優秀なスタッフが育っていたのでしょう。
思い起こせば1970年代、『ベティ・ブープ』のカラーリメイクがアメリカから韓国に発注されたように、『宇宙エース』は中国でリメイクされていたのです。
カラーリメイクの現場作業は、アジアと縁が深かったのかもしれません。(つづく)

『宇宙エース』カラーリメイク版作監修正
アサリちゃんと原始時代の娘が出会うシーンです。
カットにより、プリントアップには作監から修正用紙が入れられていました。
作画指示のコメントは、日本語を中国語に翻訳したわけではなく、
最初から動画スタッフ向けに中国語で書かれています。
- 関連記事
-
- 須田正己さんに感謝
- モノクロアニメのカラー化大作戦 その10
- モノクロアニメのカラー化大作戦 その9
- モノクロアニメのカラー化大作戦 その8
- 『恐怖伝説 怪奇!フランケンシュタイン』 祝 放映40周年