「『ふしぎの海のナディア』展」
- 2021/09/25
- 06:30
9月10日から9月26日まで東京ソラマチで行われている、「『ふしぎの海のナディア』放送開始30年記念 展」に行ってきました。
1990年(平成2年)4月から91年4月までNHKで放映された庵野秀明さん監督『ふしぎの海のナディア』の大規模な展示会です。
最近では、アニメ関連の展覧会は珍しくありませんが、アニメーターや演出家、原作者などのクリエーター個人や制作会社ではなく、一作品のみにスポットをあてたものは、珍しいことです。
確かに放映当時も『ナディア』は、アニメファンには注目されていた作品でした。それが、30年経って、このような一般向けの展示が行われるとは感慨深いものがあります。
東京ソラマチ5階の会場では時間毎の入場制限があり、コロナ対策もしっかりとされていました。
そこには、当時見ていたであろう30代から50代くらいの人たちが多数訪れていました。皆さんそれぞれの原画やセルなどにじっくりと見入っていて、今も愛されていることが分かります。
まず初期の企画書から、タイトルロコ案、庵野さんの構想メモ、貞本義行さんや前田真宏さんのイメージボードやキャラクター原案など、作品の基礎となった資料が目を引きます。
そして、ストーリーの流れにそって庵野さんのストーリー構成案、設定や絵コンテ、原動画、セルなどが、展示されていました。
驚いたのは、セル画の状態の良さです。通常でしたら30年も経つとトレス線が退色してしまうのですが、状態の良いまま残っていました。これは動画以降、セルの彩色まで海外発注していたことが功を奏したようです。
当時、制作を受け持った韓国の世映動画ではトレスマシンではなく、セルの表面に主線を複写するゼロックスマシンを使用していました。
そのため、裏からアニメカラーを塗っても、表面のトレス線には影響が出なかったのです。
不思議なのは、それ以前の国際映画社の「J9シリーズ」も世映動画では制作を請けていたのですが、あちらではトレスマシンを使用していました。
もしかしたら『ナディア』では発注の際に、何らかの取り決めがあったのかもしれません。ただ、まさか30年後にこういう展示を行うためとは、誰も思ってはいなかったでしょう。
今回の展示資料の点数は400点を超えるそうです。よくぞここまでと言うくらい、一作品の資料が話数ごとにきちんと保存されていることには感動しました。
これは、放映時から制作資料の重要性を考え保管する努力をされた方が現場にいたからこそ、出来たことでしょう。
30年前に作品資料の保存の意義を考え、体系立てて保管されていた方々にも感謝です。

「『ふしぎの海のナディア』展」チラシ
1990年(平成2年)4月から91年4月までNHKで放映された庵野秀明さん監督『ふしぎの海のナディア』の大規模な展示会です。
最近では、アニメ関連の展覧会は珍しくありませんが、アニメーターや演出家、原作者などのクリエーター個人や制作会社ではなく、一作品のみにスポットをあてたものは、珍しいことです。
確かに放映当時も『ナディア』は、アニメファンには注目されていた作品でした。それが、30年経って、このような一般向けの展示が行われるとは感慨深いものがあります。
東京ソラマチ5階の会場では時間毎の入場制限があり、コロナ対策もしっかりとされていました。
そこには、当時見ていたであろう30代から50代くらいの人たちが多数訪れていました。皆さんそれぞれの原画やセルなどにじっくりと見入っていて、今も愛されていることが分かります。
まず初期の企画書から、タイトルロコ案、庵野さんの構想メモ、貞本義行さんや前田真宏さんのイメージボードやキャラクター原案など、作品の基礎となった資料が目を引きます。
そして、ストーリーの流れにそって庵野さんのストーリー構成案、設定や絵コンテ、原動画、セルなどが、展示されていました。
驚いたのは、セル画の状態の良さです。通常でしたら30年も経つとトレス線が退色してしまうのですが、状態の良いまま残っていました。これは動画以降、セルの彩色まで海外発注していたことが功を奏したようです。
当時、制作を受け持った韓国の世映動画ではトレスマシンではなく、セルの表面に主線を複写するゼロックスマシンを使用していました。
そのため、裏からアニメカラーを塗っても、表面のトレス線には影響が出なかったのです。
不思議なのは、それ以前の国際映画社の「J9シリーズ」も世映動画では制作を請けていたのですが、あちらではトレスマシンを使用していました。
もしかしたら『ナディア』では発注の際に、何らかの取り決めがあったのかもしれません。ただ、まさか30年後にこういう展示を行うためとは、誰も思ってはいなかったでしょう。
今回の展示資料の点数は400点を超えるそうです。よくぞここまでと言うくらい、一作品の資料が話数ごとにきちんと保存されていることには感動しました。
これは、放映時から制作資料の重要性を考え保管する努力をされた方が現場にいたからこそ、出来たことでしょう。
30年前に作品資料の保存の意義を考え、体系立てて保管されていた方々にも感謝です。

「『ふしぎの海のナディア』展」チラシ
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