『忍者ハットリくん』 祝 放映４０周年

　１９８１年（昭和５６年）９月２８日、テレビ朝日系で藤子不二雄Ａさん原作の『忍者ハットリくん』が放映スタートしました。
　今年でテレビアニメ開始から４０周年を迎えます。

　『忍者ハットリくん』の原作は、元々藤子不二雄さんがお二人に分かれられる前に描かれています。手塚治虫さんの『鉄腕アトム』や、横山光輝さんの『鉄人２８号』が掲載された月刊誌『少年』（光文社）に、１９６４年から１９６８年に連載されていました。
　単行本は、昭和４０年代に秋田書店の新書判・サンデーコミックスで全３巻で発売されていました。
　連載当時は実写ドラマ化され、ハットリくんはお面をかぶって出演するという異色作でした。八十年代頃、懐かし作品を紹介するバラエティ番組では、よくこのフィルムが紹介されたものです。
　ただテレビアニメ放映以前はサンデーコミックスも長らく再版されず、藤子ファンにとって古書を探すことしかもなかったため、なかなか触れることができない作品でもありました。

　それが八十年代には『コロコロコミック』（小学館）で新作が再開され、うれしいことにてんとう虫コミックスでも刊行されるようになりました。
　これはテレビアニメ化に合わせた動きでした。当時、シンエイ動画版『ドラえもん』のヒットがあり、中央公論社からは毎週発売の「藤子不二雄ランド」シリーズの刊行と、新たな藤子作品ブームが起こっていたのです。

　１９７９年から帯で放映されていた『ドラえもん』の時間帯移動にともない、後を受けたのが『ハットリくん』です。
　総監督には『タイムボカン』シリーズでおなじみの笹川ひろしさんを迎え、ハットリくんの口癖「ニンニン」など、それぞれのキャラクターの個性をより強調してくれました。
　堀絢子さんのハットリくん、菅谷政子さんのケンイチくん、三田ゆう子さんのシンゾウ、肝付兼太さんのケムマキ、緒方賢一さんのシシ丸、山田栄子さんの影千代など、キャスト陣も息が合っていて、楽しい作品世界にマッチしていました。
　
　１９６４年の連載時でも、少年忍者が都会に現れるというアナクロな設定でしたが、８０年代に伊賀の奥地から少年忍者が修行に現れるという物語は、かえって新鮮で歓迎されました。
　ハットリくんとケンイチくんたちが織りなすドタバタも毎回楽しく、『ドラえもん』とはまた違った魅力がありました。

　後に、香取慎吾さん主演で実写映画されインド版新作アニメも制作されるなど、今も根強く多くのファンに愛されている名作です。


『忍者ハットリくん』